研究課題/領域番号 |
03454362
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
木村 友厚 大阪大学, 医学部, 助手 (80167379)
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研究分担者 |
小野 啓郎 大阪大学, 医学部, 教授 (70028330)
越智 隆弘 大阪大学, 医学部, 教授 (80112035)
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キーワード | 軟骨 / コラ-ゲン / トランスジェニックマウス / 変形性関節症 |
研究概要 |
異常IX型コラ-ゲンαl鎖遺伝子導入トランスジェニックマウスの作製に成功した。3系統のtransgenic linesが得られたが、一匹は不妊であり、主に残る2系統のfoundcr及びoffspringについて分析した。その結果導入したαl(IX)transgeneは、RTーPCR法にて主に軟骨組識で少くとも生後28日まで発現していることを確認した。他の組識では眼での発現を認めたが、筋肉、肝臓、脳等での発現は限られたものであり、今回用いたプロモ-タ-/エンハンカ-(II型コラ-ゲン遺伝子)によって、transgeneをほぼ軟骨特異的に発現させることができた。 これらのマウスでは成長軟骨異常や重大な骨格異常、既ち四肢短縮、脊維変形、口蓋裂などの変化は認めなかった。しかしこれにかわって、生後12カ月までの加令に伴って膝を中心とする荷重関節に、変形性関節症変化が出現した。これらの変化は同年令のコントロ-ルマウスには認められなかった。この事は、IX型コラ-ゲンの異常が、multifactorialな疾患である変形性関節症の発症における重要な遺伝的背景となることを示している。 この疾患発症の詳細なメカニズムは末だ不明であるが、3系統のマウスが同一の疾患phenotypeを示しているため、transgeneの挿入変異とは考えられない。現在予備的実験で、導入した異常αl鎖が実際にタンパクに翻訳されており、これがSーS結合にて他のコラ-ゲン鎖と結びついて、異常なIX型コラ-ゲン分子を形成していることを確認している。現時点ではこの異常IX型コラ-ゲン分子が、overmodificutionを受け、同時に早期に分解(Protein suicide)を受けていると考えられる。
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