軟骨コラーゲン遺伝子導入トランスジェニックマウスによる軟骨異常の分子生物学的解析

1992 年度 実績報告書

• 研究課題/領域番号: 03454362
• 研究機関: 大阪大学
• 研究代表者: 木村 友厚 大阪大学, 医学部, 講師 (80167379)
• 研究分担者: 小野 啓郎 大阪大学, 医学部, 教授 (70028330) ; 越智 隆弘 大阪大学, 医学部, 教授 (80112035)
• キーワード: 軟骨 / コラーゲン / トランスジェニックマウス / 変形性関節症

研究概要

昨年度までに異常区型コラーゲンの鎖を導入したトランスジェニックマウスを作製しており、これらのマウスに変形性関節症が発症する事を示した。今年度はさらにその疾過発現のメカニズムを明らかにした。既ち導入したtransgeneは3〜5コピーがconcatamericを状態でマウスゲノムに取り込まれていたが、そのmRNAレベルでの発理は軟骨組識と脳組識で主に認められた。他の組識での発現は低レベルであった。軟骨より抽出したコラーゲンをSDS-PAGE,Western-blotにて分析すると、内在性の105KDaのα1鎖に加えて、transgemeに対応する分子量数65KDaのポリペプチド鎖の存在が明らかとなった。このポリペプチド鎖は遺伝前には他のα鎖と会合して分子量数250KDaの異常を区型コラーゲン分子を形成していた。既ち導入した異常区型コラーゲンα1鎖遺伝子は、学にoverexprcssionされるのみならず、それが他のα鎖と会合して異常区型コラーゲン分子を形成し、いわゆるDownnant-Negative Mututionとして仂いていることが明らかとなった。
一方関節軟骨を電顕レベルで観察すると、まず表層軟骨細胞の変性〓が認められ、さらに中間層の細胞外マトリックス中では、II型コラーゲン細線維の配列の乱れと、その〓の細化が認められた。〓て異常子区型コラーゲンの形成は、軟骨基〓内でII型コラーゲン細線維のbibrillogeiesisに悪影響を与えられていると考えられる。
さらにtransgecni uisceどうしを支配してperuicrent hounodygous lineを作製した。これらのマウスではtransgereの発現が約2倍になっていたが、その一部が軟骨形成異常症が発症した。いいかえれば、区型コラーゲンの遺伝子レベルでの異常は、変形性関節症から軟骨形成異常症に至る広いスペクトラムの症患の原因となりうることを証明した。

研究成果

• [文献書誌] Iwaski,M.,Nakata,K.,Nakahara,H.,Nakase,T.I.,Kimura,T.,Kimata,K.,Caplan,A.,and Ono,K,: "Transforming Growth Factor-B1 Stimuilates Chondrogenesis and Inhibits Osteogenesis in High Densty Culture of Periosteum-Derived Cells." Endocrinology. 132. (1993)
• [文献書誌] Nakata,K.,Nakahara,H.,Kimura,T.,Kojima,A.,Iwasaki,M.,Caplan,A.I.,and Ono,K,: "Collagen Gene Expression during chondrogenesis from Chick Periosteum-derived cells." FEBS Lett.299. 278-282 (1992)
• [文献書誌] Nakata,K.,Ono,K.,Miyazaki,J.,olseu,B.R.,Muragaki,M.,Adaclu,E.,Yamamura,K.,and Kimura,T,: "Osteoarthritis Associuted with Mild Choudrodysplaria in transgenic Mice Expressing α1(1X)Collagen Chains with a Centrol Deletion" Proc.Natl.Acal.Sci.USA. 90. (1993)
• [文献書誌] Warman,M.,Kimura,T.,Muragaki,Y.,Castagnola,P.,Tamei,M.,Iwata,K.,and Olsen,B.R.: "Monoclond Antiboclies ageinst two Epitopes in the Human α1(1X) Collagen Chain." Matrix. (1993)