研究概要 |
IX型コラーゲンα1鎖の中央部に欠失を有するトランスジェニックマウスを3系統作成し,transgeneについてヘテロ接合体で変形性関節症が,さらにtransgeneの発現量の多いホモ接合体の一部で軟骨形成異常症を発症することを明らかにした.これらのtransgeneの発現量を,mRNAレベルに加えてさらに蛋白レベルで検討し,異常IX型コラーゲン量の違いによって,種々の重症度の異なる疾患形質が生じることを明らかにした.このマウスのさらに長期の観察では,関節のみならず脊椎にも椎間板変性を始めとする変化が出現することを確認している. 一方,IX型コラーゲンα1鎖に異なるタイプの変異を有するトランスジェニックマウスを作製した.その結果,変異の種類によっては,マウスはなんらの異常も来たさない.ところがIX型コラーゲンα1鎖のCOL1 domainにGly to Cysの変異を有するものでは,late-onset typeの軟骨形成異常症が出現した.しかもその形質は躯幹短縮型であった. 以上より,IX型コラーゲンの遺伝子レベルでの異常が,軟骨形成異常症から変形性関節症に至る広いスペクトラムの疾患の原因となりうる事を証明した.またその異常形質と重症度は,変異の場所と種類に大きく影響されることが示唆された.
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