-85℃凍結保存骨のallograft実験 WKAラットの凍結保存した大腿骨顆部をLewisラットにマイクロサージャリーを用いて移植しCyclosporin AまたはFK506を用いて免疫抑制を行った動物群(以下免疫抑制群)と免疫抑制を行わなかった動物群(以下免疫非抑制群)を作成し、以下の点で比較した。 (1)組織学的観察 (1)免疫抑性群:移植後3日目で骨細胞は壊死に陥っていた。1週目では骨膜内層に未分化間葉系細胞の増殖を認めた。3週目以降は骨新生が観察されるようになり、5週目では骨髄細胞の増殖も認めた。 (2)免疫非抑制群:免疫非抑制群では移植1週目では骨組織は完全な壊死に陥っていた。移植3週目でも骨膜下の未分化間葉系細胞の増殖はわずかであった。これらの所見は、組織学的には移植片に温存されていた未分化間葉系細胞が血行の温存によって分裂を開始することによって新生骨は作られていることを示唆していた。 (2)monoclonal抗体を用いた検索 骨新生に関与する未分化間葉系細胞が移植片から由来する事を証明するためWKA、Lewisラットの各々の系統のHLAの差を識別しうる2種類のモノクローナル抗体を用いて免疫組織染色を試みた。しかし、これらのモノクローナル抗体は非特異的反応が強く骨新生に関与する細胞を明瞭に同定をすることは困難であった。今後はモノクローナル抗体の種類を変えるなどの工夫が必要と考えている。
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