研究概要 |
ヤツメウナギにおけるハロセンのAC50、AC95は単一Giant internenron-Axonのシナプス伝達を各々25%、50%抑制した。シナプス伝達の抑制は、シナプス後膜のグルタミン酸に対する応答の感受性低下が主な機序であることが推察された。臨床濃度に相当する範囲では、細胞膜の興奮性と膜電位依存性のNaチャンネルには影響を及ぼさなかった。成績は、麻酔状態が興奮性シナプス伝達の部分的抑制によってもたらされることを示唆した。これらの成績はAnesth.Analg.76巻2号、342-347、1993.に掲載された。 2.ラット青班核ニューロンを用いて、麻酔薬がセロトニン受容体およびalpha2アドレナリン受容体の感受性に及ぼす作用について解析した。臨床濃度の麻酔薬がこれらの受容体応答性を低下させることによって中枢性痛覚抑制系を賦活する可能性を示唆した。成績はJ.Neurosurgical Anesthesiaに投稿中である。 3.アフリカツメガエル卵母細胞の受容体発現モデルを作製し、細胞内情報伝達系に与える吸入麻酔薬の作用を解析した。5-HTで誘発されるC1-電流はメトキシフルレン0.5,1,3mMで各々対照値の80,60,20%に抑制された。イノシトール3リン酸、Ca^<2+>の注入で誘発されるC1-電流には影響が認められなかったのでこの系における麻酔薬の作用点は膜結合型酵素系にあると推測された。
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