研究課題/領域番号 |
03454378
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研究機関 | 熊本大学 |
研究代表者 |
寺崎 秀則 熊本大学, 医学部, 助教授 (30040562)
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研究分担者 |
田尻 晃彦 熊本大学, 医学部, 助手 (50236527)
岡本 泰介 熊本大学, 医学部附属病院, 助手 (90191957)
大津 哲郎 熊本大学, 医学部附属病院, 講師 (40152178)
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キーワード | 膜型人工肺 / 抗血栓性 / ヘパリン / 長期体外循環 / 新生児呼吸不全 / 出血防止 / ヤギ |
研究概要 |
小型高性能の緻密膜中空糸外部灌流式人工肺(MENOX^<TM>、膜面積0.3m^2、クラレ)と体外循環回路にヘパリンを共有結合(Carmeda、スウェ-デン)し、全身ヘパリン投与量を減らした長期ECLAの有効性と安全性を検討した。「方法」ヤギ10頭を用い二群に分け、1群(5頭、ヘパリン結合群)にはヘパリン結合人工肺、回路、脱・送血カテ-テル、2群(5頭、コントロ-ル群)には非ヘパリン結合のものを用い、VーAバイパスを実施した。ACTを、ヘパリン結合群では120〜130秒、コントロ-ル群では200〜250秒になるよう10倍希釈ヘパリン溶液をECLA回路内へ持続投与し7日間のECLAを実施した。「結果」平均ヘパリン投与量は,ヘパリン結合群で23.4±4.2単位/kg/時間(平均値±標準偏差)となり、コントロ-ル群の53.6±13.2単位/kg/時間(平均値±標準偏差)と比較して半分以下に有意(p〈0.002)に少なくて済んだ。血小板の数、凝集能、フィブリンモノマ-テストには両群間で差異はなかった。両群の人工肺のガス交換能は良好であった。ECLA後の人工肺中空糸表面を走査電顕で調べた。肉眼的には凝血付着のない部位でも、コントロ-ル群ではフィブリン膜と多数の細胞が付着していた。一方、ヘパリン結合人工肺の表面は非常にきれいであった。人工肺気相の血漿漏出、気泡混入等の合併症は両群において認められなかった。「臨床応用」気道内大出血による窒息例と胎便吸引症候群による新生児重症呼吸不全2例に対して、このヘパリン結合人工肺を使用して救命できた。 「結論」新しいへパリン結合人工肺は、抗血栓性に優れヘパリン必要量が少なく、ACTを延長することなく正常上限内に維持して安全に長期ECLAが可能であった。臨床応用例で出血防止効果を認め、長期ECLAに最も適した人工肺である。
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