研究概要 |
本年度は胚細胞および胚細胞腫瘍の特異的なモノクローナル抗体5G9を用いて,本抗体認職抗原の形態学的解析を行った。 本抗体は分子量29KD,IgMに属する蛋白であり、胎児および成人精巣における免疫組織化学的検討で,germ cellおよびprimordial germ cellが陽性であったが,spermatocyte,spermatid,spermatozoa,leydig cellおよびsertoli cellは陰性であった。また,悪性腫瘍組織に対する免疫組織化学的検討では,Typical seminoma,Spermatocytic seminoma,Embryonal carcinomeおよびChoriocarcinomaは全例陽性であったが,Embryonal carcinomaおよびChoriocarcinomaにおける発現は前二者に比べて強かった。 Yolk sac tumor,Teratoma,Malignant lymphomaおよび他の泌尿器科悪性腫瘍にはすべて陰性であった。また,ヒト精巣germ cell lineのITO-2も陽性であった。 本抗原の精巣の分化における存在様式を明らかにするために,男性不妊患者の精巣組織を用いて検討したが,組織の保存方法および組織の採取量の問題で有意義な結果は得られなかった。また,精巣障害の程度による予後判定への応用として,ラットの睾丸捻転症モデルを作製し,本抗体を用いた精巣障害程度の判定基準の検討を行っている。
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