研究課題/領域番号 |
03454387
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研究機関 | 神戸大学 |
研究代表者 |
守殿 貞夫 神戸大学, 医学部, 教授 (30030935)
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研究分担者 |
後藤 章暢 神戸大学, 医学部, 非常勤講師
小川 隆義 神戸大学, 医学部, 非常勤講師 (70160760)
松本 修 神戸大学, 医学部, 非常勤講師 (80165878)
荒川 創一 神戸大学, 医学部, 助教授 (70159490)
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キーワード | 抗胚細胞腫瘍抗体 / 精巣腫瘍 / モノクローナル抗体 |
研究概要 |
本年は科学研究の最終年度にあたるため、我々が作製したヒト精巣seminomaの診断用パラフィンブロックを免疫源とした、胚細胞および胚細胞腫瘍に特異的なモノクローナル抗体5G9について、男性不妊患者の精巣組織を用いて、その臨床応用の有用性について検討した。 無精子症あるいは乏精子症の診断で精巣生検を施行した45症例を用いた。ブアン液で固定後の検体をパラフィン包理し、そのブロックを5μに薄切し、0.3%H_2O_2メタノールで10分間不活化した後、一次抗体として5G9を用い、ABC法により免疫組織染色を行った。判定は精細管内のDAB反応陽性細胞の比率によって行った。 陽性所見は閉塞性無精子症で80%、乏精子症で79%と高頻度であった。毛精子症で挙児を得た2例はいずれも陽性であったが、染色性では他と差は認めなかった。しかし、特発性無精子症での陽性所見は21%と少なく、造精機能の低下した停留精巣では全例陰性であった。 本抗体は正常精巣では精祖細胞に証明され、精祖細胞が精細管基底膜に近接して存在することより、基底膜周辺の状態を知るうえで有用と考えられる。本抗体を用いた免疫組織学的検討は無精子症および乏精子症のそれぞれの残存造精機能の程度を評価するための有用な方法となりうる可能性が示唆された。今後、精巣組織の造精機能回復機序について、睾丸捻転症の精巣組織における本抗体の利用方法につき検討していく予定である。
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