研究概要 |
県下32産科施設の協力の下に「産婦人科」の立場より 1)HCVキャリアステ-トの診断法,2)妊婦におけるHCV保有状況,3)HCVキャリア妊婦家族におけるHCV集積状況,4)輸血あるいは血漿製剤以外の感染経路可能性等について調査検討を行い,以下の結論を得た。 HBVキャリア婦人において抗Cー100抗体陽性例は8例(2.2%)であった。妊婦可能年令の婦人86例のうち抗Cー100抗体陽性例は存在せず,抗Nー14抗体陽性例は1例(1.2%)であった。当院外来を受診した妊婦では抗Cー100抗体陽性例は7例(1.8%)であり,非妊婦では14例(3.6%)であった。対照とした男性群では抗Cー100抗体陽性例は14例(2.0%),抗Nー14抗体陽性例は13例(1.8%)であった。抗Cー100抗体と抗Nー14抗体検査結果の比較では一致率は97.4%に達した。我々はスクリ-ニング目的で抗Cー100抗体を検索しており,肝機能の指標として血中GPTを測定したところ,GPT値正常者においても抗体陽性者がかなり見られた。GPT高値を示す抗体陽性者は輸血歴を有するものが多かった。抗体検査で両者陽性例ではPCR陽性率が高く,輸血歴や肝機能異常を有する率も有意に高かった。家族内にHVC感染者を有する18家族,65例にて抗体,PCR,肝機能等を検索したが,出生児においてもPCR陽性例が認められ,同様の症例が配偶者にも認められ,垂直感染,夫妻間感染の可能性が示唆された。
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