研究概要 |
婦人科癌の中では、卵巣癌の予後が最も悪く(5生率30%)、その理由として1)無症状で進行する、2)早期診断法が無い、3)組織型が極めて多彩である、等が挙げられる。 一方、卵巣癌は特に多種の生理活性物質を産生、放出する点、他の癌と異なり、生理活性物質の分離、同定は、臨床における診断と治療に極めて有用と考えられる(例えは腫瘍マーカーとしてのCA125,免疫療法としてのサイトカイン)。 我々は多数の培養細胞株を収集、維持し、産生、放生される微量の生理活性物質を分離、同定する目的で、無血清培養を試み成功した(後出文献Arch.Gynecol.Obstet.,248:103-110,1990を参照)。更に血中、或は腹水中に放出、存在する微量の生理活性物質を分離、同定するメソッドを確立した(後出文献Jpn.J.Cancer Res.,82:693-700,1991)。 現在、無血清培養ヒト卵巣癌培養細胞株の生物学的特性をオンコジーン,各種増殖因子,サイトカイン,プロテアーゼを中心に追求すると共に、新しい生理性活性物質の分離,同定と、その臨床応用を試みている。
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