研究課題/領域番号 |
03454398
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
中野 仁雄 九州大学, 医学部, 教授 (40038766)
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研究分担者 |
佐藤 昌司 九州大学, 医学部, 講師 (00225947)
前田 博敬 九州大学, 医療技術短期大学部, 助教授 (20199631)
小柳 孝司 九州大学, 医学部, 助教授 (30136452)
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キーワード | ヒト胎児 / 中枢神経系機能異常 / スクリーニングシステム / 出生前診断 / 脳性麻痺 / 胎児行動 / 超音波電子スキャン / 胎児心拍数陣痛計 |
研究概要 |
胎児期に中枢神経系機能異常ならびに病変の局在をどの程度まで診断できるかを目的に、妊娠37-41週で分娩に至った1,426例の胎児を対象として、ヒト胎児の中枢神経系機能異常のスクリーニング検査を行った。子宮内において中枢神経系機能障害を有する可能性のある胎児を抽出する基準として、胎動の減少・消失、持続性non-reactive FHRpattemおよび先天性中枢神経系形態異常を設定した。本基準によって抽出された10症例に対して、1)四肢の運動 2)呼吸様運動、3)眼球運動期と無眼球運動期の交代性の出現、4)眼球運動一単位の持続時間、5)無眼球運動期に同期した規則的な口唇運動、6)胎児心拍数パターンのActive/Quiet Phasesの交代性の出現を指標とした精密検査を施行した。 その結果、精密検査の指標の何れかに、繰り返して異常を認めた症例は5例存在し、これらは子宮内において既に中枢神経系機能障害を有している症例であると出生前に診断した。出生後の追跡調査において、これら5症例は中枢神経系機能に異常があることが明らかとなった。本指標に一過性の異常を認めた症例が2例存在したが、出生後、神経学的な異常が認められなかった。残る3例においては精密検査に異常が認められなかった。以上より、本システムのpositive predictive valueは71.4%(5/7例)であることが判明した。 胎児期の動作所見と出生後に明らかとなった病変部位とを対比する観点からみると、1)脊髄あるいは延髄〜橋に病変を有する例では、子宮内における動作の異常から病巣の解剖学的な部位を推定できること、2)脳全体に瀰慢性に病変を有する例では、動作の異常の検出は可能であったが病変部の特定は困難であること、3)大脳半球に限局した病巣を随伴する例では動作に異常は認められないこと、および4)異常動作が一過性に認められた例では、出生後に器質的にも機能的にも中枢神経系に異常な所見は認められないことが判明した。
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