研究課題/領域番号 |
03454404
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研究機関 | 東京医科歯科大学 |
研究代表者 |
小松崎 篤 東京医科歯科大学, 医学部, 教授 (50010195)
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研究分担者 |
田中 英和 東京医科歯科大学, 医学部, 助手 (50163556)
辺土名 仁 東京医科歯科大学, 医学部, 助手 (50199452)
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キーワード | 聴神経腫瘍 / 内耳道拡大 / 炭酸カルシウム / 前庭感覚上皮 / 骨量ファントム / 超微細形態 / 温度眼振 |
研究概要 |
経過と結果 1.内耳道拡大の要因に関する研究 聴神経腫瘍の症例では、内耳道の拡大が一つの大きな診断根拠になりうるが、その原因についてはいまだ明確な解答が得られている段階ではない。一般に、内耳道の拡大は内耳道底より内耳道孔の拡大がより著明であり、それは内耳道の部位により炭酸カルシウムの含有量に差異があり、それが拡大の要因となる可能性に着目して、正常者のカルシウム分布を検討した。方法は正常40耳に対して内耳CTに骨量ファントムを併用により、炭酸カルシウム相当量を測定した。その結果、内耳道孔付近は内耳道底に比して骨硬度が低下している結果がえられ、腫瘍症例における内耳孔拡大の要因になることが推定された。 2.腫瘍症例の前庭感覚器上皮の超微細形態についての研究 内耳道内に腫瘍が原発するとその末梢部位である前庭感覚器にも形態学的な変化の生ずることが期待される。そこで手術時に適出された前庭感覚器の形態について検討した。方法は適出感覚器を迅速に電子顕微鏡用に固定して透過型電子顕微鏡(日立H600型)で観察した。その結果これらの上皮は光学顕微鏡下には殆んど正常な形態であったが電顕的には以下に示すような所見を示した。すなわちリポフスチン顆粒、空腔変性、支持細胞の濃縮などは高齢者の症例に多く認められ、これらは腫瘍症例に特異的な所見とはみなされなかった。また上皮内嚢胞は約半数に認められたが、年齢、腫瘍の大きさ、温度限振反応の低下の程度とは特に相関はなかった。以上の結果は内耳道内に腫瘍が存在しても少なくても形態的には末梢感覚器には異常所見は認められず、機能検査所見として重要な温度眼振反応の低下に果す末梢感覚器の役割は少なく、機能異常は主として内耳道内の病態に起因するものと推定された。
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