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1991 年度 実績報告書

パッチクランプ法による蝸牛神経伝達物質の研究

研究課題

研究課題/領域番号 03454406
研究機関九州大学

研究代表者

上村 卓也  九州大学, 医学部, 教授 (00075201)

研究分担者 君付 隆  九州大学, 医学部, 助手
小宗 静男  九州大学, 医学部, 講師 (10117434)
キーワードモルモット / 蝸牛 / 単離細胞 / 外有毛細胞 / パッチクランプ法 / カリウム電流 / 静止膜電位
研究概要

モルモット蝸牛より外有毛細胞を、酵素および機械的処理により単離した。外有毛細胞の膜電位を静止状態に電圧固定したうえで、脱分極性および過分極性電圧刺激をくわえたところ、細胞膜にそれぞれ外向きおよび内向きの膜イオン電流が惹起された。また、これらのイオン電流を構成する主たるイオンはカリウムであることが判明した。内向きのカリウム電流は、他の組織で報告されている従来のカリウム電流とその生理学的特性が異なり、細胞の静止膜電位のレベルにおいてもすでに活性化されていた。モルモット蝸牛の外有毛細胞に特異なカリウムチャンネルが存在する意義として次に挙げるような生理学的役割が推測される。蝸牛には通常の細胞外液 と組成が似ているナトリウムイオンにとむ外リンパ液と、カリウムイオンにとむ内リンパ液が存在している。外有毛細胞は頂部において内リンパ液に、また外側基底部において外リンパ液に接しており、二つの組成の大きく異なった細胞環境間に存在している。しかも音刺激により内リンパ液より大量のカリウムイオンが細胞内に流入することが知られている。外有毛細胞には今回明らかになったように静止電位においてカリウムチャンネルが活性化されており、細胞内に蓄積したカリウムイオンが外リンパ液に流出するので、外有毛細胞は異なった細胞環境問のサイホン機能をもつことが考えられる。また音刺激により細胞周囲の外リンパ液のカリウムイオン濃度が上昇することが報告されている。外有毛細胞はこのチャンネルを通して、膜電位の再分極の過程において外リンパ液中のカリウムイオンを細胞内に取り込むことが推察される。つまり、外有毛細胞は哺乳類蝸牛において従来考えられていた感覚細胞としての働きに加えて、中枢神経系におけるグリア細胞の様に、カリウムイオンの緩衝系の役割を有する可能性がある。

  • 研究成果

    (2件)

すべて その他

すべて 文献書誌 (2件)

  • [文献書誌] T.NAKAGAWA: "EFFECTS OF田CA^<2+> ANTAGONISTS AND AMINOGLYCOSIDE ANTIBIOTICS ON CA^<2+> CURRENT IN ISOLATED OUTER HAIR CELLS OF GUINEA PIG COCHLEA" Brain Research.

  • [文献書誌] T.NAKAGAWA: "POTASSIUM CONDUCTANCE ACTIVATED AT RESTING MEMBRANE POTENTIAL OF OUTER HAIR CELL OF GUINEA PIG COCHLEA" Journal of Physiology.

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公開日: 1993-03-16   更新日: 2016-04-21  

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