平成4年度は次の3点について検索を行った。(1)咽頭扁桃における免疫担当細胞の分布を免疫組織学的に検索し、加齢による変化を検討。(2)上咽頭よりの検出菌の加齢による変化を検討。(3)咽頭ぬぐい液からのEBウイルスの検出。以下に研究の概要を述べる。(1)咽頭扁桃での免疫担当細胞の分布を酵素抗体法を用いた免疫組織染色によって検索し、12才以下を小児、18才以上を成人として、加齢による違いを検索した。B-zone組織球である樹状細胞を認識するDRC抗体やCD21陽性細胞が小児の濾胞胚中心に多数存在した。増殖細胞を認識するKi-67陽性細胞が成人に比べ、小児の濾胞胚中心に多数存在した。CD4陽性細胞は、濾胞胚中心では小児に比べ成人で減少していたが、濾胞外では差を認めなかった。(2)新生児において、生下時には細菌は検出されなかったが、生後4-5日目においてほぼ全例で菌が検出され、α-StreptococcusとS.epidermidisが多く検出された。α-Streptococcusは乳幼児、成人ともに検出されているが、S.epidermidisは乳幼児期以後では新生児に比べて検出は少なく、S.aureusの検出のほうが多くなっていた。(3)咽頭含そう液よりDNAを抽出し、EBウイルスー1、2についてPCR法を用いてウイルスDNAの検出を行った。成人含そう液14例中6例に1型を検出した。小児例については現在検索中である。現在は、咽頭扁桃上皮の扁平上皮化生と咽頭扁桃リンパ球のIgG、IgA抗体産生能について検索中であるが、さらに、Th1、Th2リンパ球が咽頭扁桃において存在するのかを検索したいと考えている。
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