研究概要 |
1.上咽頭の擦過細胞診の結果より扁平上皮細胞の分化度は加齢の影響を受けていない。 2.PCR法を用いて学童児の咽頭扁桃中にEBウイルスの存在を確認したが、検出率は低く、EBウイルス感染細胞は少ないと考えられた。しかし、成人のうがい液中にEBウイルスを高率に検出した。 3.咽頭扁桃における免疫担当細胞の分布を酵素抗体法を用いて免疫組織学杓に検索した。樹状細胞を認識するDRC陽性細胞やCD21陽性細胞および増殖期の細胞であるKi-67陽性組胞が12才以下の小児で多いことがわかった。 4.上咽頭の細菌検査より、新生児において、生下直後には細菌は検出されなかったが、生後5日までにほぼ全例で菌が検出され、α-StreptococcusとSt.epidermidisが多く検出された。α-Streptococcusは乳幼児、成人ともに検出された。 5.咽頭扁桃上皮をHE染色で扁平上皮化生について検索したところ、年齢には関係せず、単純肥大より滲出性中耳炎症例に多いことがわかった。また、この部分ではSesecretary Componentの産生が低下している所見を得た。 6.咽頭扁桃におけるTh-1,Th-2リンパ球の存在をRT-PCR法を用いて検索することを試みたが、IL-4は小児、成人ともに検出され、IL-2、IFN-γは検出されなかった。 7.咽頭扁桃細胞でのアポトーシスについて検索することを試み、10才以上より5才以下の症例でアポトーシスと関係が深いFas抗原の発現が強いことがわかった.以上の結果より咽頭扁桃で細菌の付着に加齢による差はなく、EBウイルスの感染は成人の方が高い結果を得た。免疫担当細胞の分布でも加齢による著明な差を認めなかった。アポトーシスと関係の深いFas抗原は成人の方が強かった。
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