研究課題/領域番号 |
03454410
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研究機関 | 金沢医科大学 |
研究代表者 |
枝松 秀雄 金沢医科大学, 耳鼻科, 助教授 (50151981)
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研究分担者 |
横山 和則 東京医科歯科大学, 耳鼻科, 助手 (90220566)
松平 登志正 金沢医科大学, 耳鼻科, 講師 (50131032)
安田 誠夫 金沢医科大学, 耳鼻科, 講師 (70239763)
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キーワード | Gerbil / Aging / Auditory function / Cochlear nucleus / Presbycusis / ABR / vacuole |
研究概要 |
本年度の研究テ-マは、スナネズミ(Mongolian gerbil)の中枢聴覚路(蝸牛神経核を主体に)の経時的な変性を形態学的に観察し、その聴覚機能に及ぼす影響を電気生理学的な手法により検討することであった。 【今年度の研究結果】 1.形態学的成果:生後21日目から2年までの鼓膜の正常なスナネズミ16匹を使用し、電気生理学的実験後に生体潅流による固定を行ない断頭し、蝸牛神経核を中心として脳標本を作製し、HE染色を行なった。蝸牛神経腹側核内に限局した空胞変性(Vacuole)が生後4月以降の全例において観察され、その数は月齢と共に増加し、大きさも最大300μm^2に達していたが、生後3月までの個体の蝸牛神経核にはこの変性は確認されなかった。即ち、この変性は経時的(aging)な変性であり、今後はヒトでの老人性難聴との比較検討が重要となる。 2.電気生理学的成果:聴覚機能の評価として、中枢聴覚路の機能はABR(Auditory brain stem response)の記録で、内耳機能は蝸牛のマイクロホン電位(CM)で検討した。スナネズミの聴覚機能は生後4月目頃に成熟レベルに達してその後加齢と共に低下が認められた。この聴覚機能の低下が、蝸牛神経核の変性による直接的な影響であると考えられるデ-タは、生後1年以上経過した個体が少なく、まだ得られていない。 【今年度の学会発表】第36回聴覚医学会(平成3年11月、宮崎医大)にて、今年度得られた形態学的な成果を主体に報告した。本年9月の岩手医大で行なわれる国際オ-ジオロジ-学会では、電気生理学的な結果も含めて報告する予定である。 【次年度の研究の予定】平成3年度の研究をさらに進めるため、4年度の研究では蝸牛神経の電子顕微鏡による観察と、内耳における変性の有無の確認を考えられている。この変性の聴覚路への影響を明らかにすめため、より古い個体を用いて電気生理学的実験を行なう。さらに、血流と変性の関連を検討するため、対象動物として脳卒中易発作性高血圧ラット(SHRーSP)での検討も予定している。
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