研究概要 |
フィブロネクチンの活性フラグメントであるRGDSペプチドの細胞接着阻害作用は、RGDSのポリマ-の方がモノマ-より強いという報告が他施設からあり、本年度の研究では、まずRGDSの4倍体を合成することを目標とし、液相法での合成法を以下の様に確立した。 合成は、1.ペプチド中間体の合成、2.中間体保護基の除去、3.目的ペプチドの精製の順で行った。 1.通常の液相法により、BocーSer(Bzl)ーOPacのBoc基をトリフルオロ酢酸で除去してアミン成分とし、BocーAsp(OBzl)ーOH,BocーGlyーOH,そしてBocーArg(Tos)ーOHの順にカルボン酸成分をDCC/HOBt法を用いて逐次カップリングした。得られたテトラペプチドは、半量をBoc基を除去しアミン成分とし、半量をOPac基を除去してカルボン酸成分とし、それぞれをフラグメント縮合法でカップリングしてオクタペプチドを得た。さらに同様にして、オクタペプチドの半量づつをカップリングし、ペプチド中間体を得た。なお、以上の反応は、全て薄層クロマトグラフとニンヒドリン反応でモニタ-した。 2.ペプチド中間体の保護基は、まずOPac基をZn/AcOHで除去後、OBzl基とBzl基をPd/C触媒存在下で水素分解し、最後にTos基を酸分解により除去した。 3.保護基を除去したペプチドは、水溶液とし、分取用高速液体クロマトグラフィ-によりH_2O/アセトニトリル溶液系で精製した。得られたペプチドは、アミノ酸分析や質量分析で確認した。 以上の方法で得られた、RGDS4倍体をウサギ水晶体上皮細胞の培養液に700μg/mlになるように添加すると水晶体上皮細胞の培養基質への接着が阻害された。
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