研究課題
一般研究(B)
コンピューター画像処理技術を蛍光眼底造影像に応用する試みについては、すでに正常者および数種の疾患に対する研究を報告してきた。本研究では、蛍光眼底造影像の画像処理が糖尿病網膜症の初期病変の臨床的研究、とくにアルドース還元酵素阻害剤の非増殖糖尿病網膜症に対する効果に関する研究に役立つのではないかと考え検討を行なった。糖尿病網膜症に対する薬物療法の検討に際して、網膜症の経過観察には眼底所見の客観的記録としての眼底撮影と、糖尿病網膜症が細小血管症であるため蛍光眼底造影とが必要である。しかし、臨床応用に際して、眼底写真、蛍光眼底造影写真の読影の客観化、経過観察という時系列における撮影の失敗などがある。このような問題の解決に、眼底写真及び蛍光眼底造影のコンピューターを用いた画像処理の応用を考えた。1.画像処理法としてcontrast enhancement処理を行ない、毛細血管瘤の検出効率を検討するため、強調された点状過蛍光について検討し、その結果、以下の点を明らかにすることができた。1)不鮮明な蛍光眼底写真では、過半数からオリジナル画像では読影困難な毛細血管瘤を検出することが可能であった。2)鮮明な蛍光眼底写真では、毛細血管瘤の前段階の病変を観察しやすくできることが確認できた。3)背景蛍光の一部が強調されて、毛細血管瘤とまぎらわしい蛍光を呈する場合も見られた。2.画像処理の具体的方法としては、画像の鮮鋭化(sharpening)、local range modificationを用いたcontrast enhancement、positive画像のnegative画像への変換が有用であることが判明した。
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