研究概要 |
緑内障の視機能障害の早期発見は,疾患の診断,治療方針の決定において極めて重要な課題である。近年,自動視野計の普及により明度識別視野による静的視野測定が盛んに行われるようになってきた。しかし、緑内障では明度識別視野に異常が検出された時点では,すでに約50%の視神経線維の障害が認められるとの報告もあり,視機能障害に対するより鋭敏で特異的な検査方法の開発が必要と考えられる。 今回は平成3年度に申請者らが開発した自動静的フリッカー視野計を用い、早期緑内障症例59眼を対象に,従来の明度識別視野測定との比較検討を行った。測定結果の解析には,平成3年度に行った正常被検者を対象とした研究により得られた年齢別正常値を用いた。明度識別視野測定には自動視野計OCTOPUS201プログラムNo.32を用いた。測定点配置は,フリッカー視野,明度識別視野ともに同じ配置とした。 フリッカー視野検査がより鋭敏に初期緑内障性視野変化を検出したものが37眼,明度識別視野検査とほぼ同等が10眼,明度識別視野検査がより鋭敏であったものが9眼であった。また多くの症例において眼底の視神経線維欠損の部位に一致してフリッカー値の低下を認めた。以上の結果をもって,今回われわれが開発した自動静的フリッカー視野計は,早期緑内障性視野変化の検出において極めて有用な検査法であることが確認された。
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