研究課題/領域番号 |
03454427
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研究機関 | 東京医科歯科大学 |
研究代表者 |
春日井 昇平 東京医科歯科大学, 歯学部, 講師 (70161049)
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研究分担者 |
柴田 俊一 東京医科歯科大学, 歯学部, 助手 (80187400)
須佐見 隆史 東京医科歯科大学, 歯学部, 助手 (80179184)
大井田 新一郎 東京医科歯科大学, 歯学部, 助手 (10114745)
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キーワード | 骨 / 骨髄 / 老化 / 骨芽細胞 / プロスタグランディン / ラット / 骨粗鬆症 |
研究概要 |
骨髄組織中には骨芽細胞に分化する能力を持った前駆細胞が存在しており、加齢に伴いこの前駆細胞の数が減少していくことが推測される。そこで、各種年齢(3週齢より24ケ月齢)のラットの大髄骨より骨髄細胞を調整し、種々の細胞濃度で培養をおこなった。その結果、同一数の骨髄細胞が形成する骨様の石灰化組織の量は加齢に伴い急激に減少した。従って、加齢に伴い骨髄組織中の骨芽細胞の前駆細胞の数の急激な減少が起きることが示唆された。このような現象が加齢に伴って骨組織に観察される種々の変化の大きな要因となっている可能性が考えられる。また、石灰化結節一つあたりの面積は加齢に伴い変化しなかったことより、前駆細胞一つあたりの骨様組織形成能は加齢に伴い変化しないことが示唆された。骨髄組織中の骨芽細胞の前駆細胞をなんらかの手段によって増加させることができるならば、骨粗鬆症の治療方法として応用できる可能性が考えられる。 Prostaglandin E2(PGE2)の全身投与により、骨量の増加特に海綿骨の増加が起きることが報告されている。そこで、骨髄細胞培養系を用いPGE2の骨様組織形成に及ぼす作用について検索をおこなった。高濃度のPGE2(1μM)により骨様組織の形成は完全に抑制されたが、100-10nMの濃度においては骨様組織の形成を促進した。また、1μMのPGE2を、この培養系の増殖期にあたる3日から5日にかけて作用させると骨様組織の形成量の著しい増加が観察された。この場合、石灰化結節一つあたりの面積に変化はなかった。PGE2の作用は、濃度と作用させる時期に依存していること、またPGE2による骨様組織の増加は骨芽細胞の前駆細胞の増加によるものであることが示唆された。PGE2による骨様組織の増加は、老齢ラットの大腿骨の骨髄細胞培養系においても観察された。PGE2のこのようなアナボリックな作用の機序を明確することは、骨粗鬆症の治療法を開発する上で有効であると考えられる。
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