研究概要 |
口蓋粘膜の機械的刺激により閉口反射が誘発される。本研究ではネンブタ-ル軽麻酔ネコを用い、閉口反射時における咬筋・側頭筋支配運動ニュ-ロン(Mass.およびTemp.Mns)の興奮をしらべた。Mass.およびTemp.Mnは筋刺激で誘発するISーSDスパイクで同定した。またMnが自発的にスパイクを発生している場合は筋活動を同時記録することでMnの同定が可能であった。Mass.Mnの興奮と閉口を同時記録すると、閉口前120ー160ms(N=27)でEPSPが惹起された。閉口をClosing、OcclusalおよびOpening Phase(A,BおよびC相)にわけると、多くのMass,MnsでEPSPはC相の初期まで持続したがスパイクはA相の後期からB相に誘発された。またスパスク停止時にIPSPは認められなかった。記録したMass.Mnsで閉口前にスパイクを発生するMnはなかった。つぎにTemp.Mnの興奮と自発性の閉口を同時記録した。このMnではEPSPの増大すなわちスパイク頻度の増大と自発性の閉口の大きさが比例した。EPSPの発生は閉口120ms前に生じ、閉口はスパイク発生後10ms以内に起こった。この自発性の閉口時に咬筋の筋電図活動は認められなかった。また、口蓋の前方部の圧刺激で開口が誘発されるが、Temp.Mnsでは500〜600ms間自発性放電が抑制された。この抑制は膜の過分極によるもので、この電位は膜電位依存性でありIPSPであることが分った。そしてIPSPは開口前80msに発生し、圧刺激中でも600msしか持続しなかった。
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