研究課題/領域番号 |
03454434
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研究機関 | 鹿児島大学 |
研究代表者 |
笠原 泰夫 鹿児島大学, 歯学部, 教授 (10028730)
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研究分担者 |
郡山 博司 鹿児島大学, 歯学部, 教務職員 (40215207)
原田 秀逸 鹿児島大学, 歯学部, 助手 (60128452)
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キーワード | 味覚 / 軟口蓋 / 大錐体神経 / 鼓索神経 / 忌避条件づけ / 味溶液摂取行動 / ハムスター / ラット |
研究概要 |
平成3年度には、大錐体神経経由の軟口蓋味蕾が四基本味全体について大きな情報を提供しており、この内でも特に甘味受容にはたしている役割が極めて大きい可能性をラット及びハムスターについて明らかにした。本年度は甘味識別における大錐体神経の役割を更に深く研究するためハムスターに蔗糖を用いた甘味刺激を与えてその摂取行動をlicking patternとして記録しコンピューター解析した。蔗糖の甘味を学習させた後、0.5MLiCl腹腔内投与によりこの味に対する嫌悪条件付を施し、更に加えて大錐体神経(GSP)、鼓索神経(CT)およびGSPとCT両方切断ならびにsham手術の4群について手術前後のlick patternの変化を目安として実験を行なった結果、これら神経の切断によって忌避行動が有意に弱くなりその効果は0.1M蔗糖(このシリーズの実験を行なった最も濃い濃度)についてGSP+CT両側切断>GSP両側切断≧CT両側切断>sham手術の順となった。特にGSP+CT両側切断群は他のいづれの群とも危険率1%水準で有意差があり、GSPのみ両側切断群とsham手術群との間でも危険率1%で有意差が認められたが、その影響の最も小さかったCT両側切断群でも危険率5%で有意差があった。一方sham手術群の蔗糖に対する嫌悪学習行動には何ら変化は認められなかった。 以上の結果は口蓋味蕾の甘味受容に果す役割が極めて大きいことを示すもので、特にハムスターについては甘味受容に関して舌前半部の味覚を伝える鼓索神経の役割に比べても大錐体神経の有する役割の方が大きいことが明らかにされたことから、軟口蓋味覚の役割は動物種によってもかなり異なる可能性が示唆された。
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