研究課題/領域番号 |
03454435
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研究機関 | 岩手医科大学 |
研究代表者 |
太田 稔 岩手医科大学, 歯学部, 教授 (70048255)
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研究分担者 |
永井 雅純 岩手医科大学, 歯学部, 助手 (00217960)
客本 斉子 岩手医科大学, 歯学部, 助手 (90118274)
黒川 理樹 岩手医科大学, 歯学部, 助手 (70170107)
根本 孝幸 岩手医科大学, 歯学部, 講師 (90164665)
佐藤 詔子 岩手医科大学, 歯学部, 助教授 (00048399)
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キーワード | EGFレセプター / c-erbB2 / 顎下腺細胞株 / オートクリン増殖 / チロシンリン酸化 |
研究概要 |
ヒト顎下腺由来細胞株(HSG)は分子量46Kの上皮細胞増殖因子(EGF)様分子を分泌し、これをオートクリン増殖因子として自立的に増殖している。本課題ではHSG細胞におけるEGF様分子による細胞の増殖の遺伝子発現調節機構の解明を目的とし研究を進めてきた。平成3年度までに私共は、HSG細胞にはEGFセプターと、EGFレセプターに類似した他の増殖因子レセプターであるc-erbB2産物が同時発現していることを見いだした。本年度はまず、HSG細胞の無血清培養上清を多量に集めこれよりEGF様分子を精製した。EGF様分子によるシグナルトランスダクション誘導効果を調べるにはいかに活性のあるEGF様分子を精製するかが重要なポイントとなる。これまで私共の方法では、得られたEGF様分子が既に失活していることが多く、EGF様分子の物理化学的性状を調べるという目的のためには問題はなかったが、EGF様分子の生理効果を調べることは困難であった。しかし本年度に行った精製条件の再検討、具体的には培養上清の保存法やアフィニティーカラムから溶出後の試料の濃縮法等に改良を加えることにより、EGF様分子を活性を保持したまま得ることに成功した。この結果、EGF様分子のHSG細胞への生理的効果の検討が可能となった。次に、この精製EGF様分子をHSG細胞培養系へ加え自己リン酸化される分子を検索した。外来性のEGFはHSG細胞のEGFレセプターをリン酸化することをこれまでに認めているが、精製EGF様分子によるシグナルカスケードの活性化がEGFレセプターとc-erbB2産物のどちらを介して惹起されるかは興味深い問題である。HSG細胞培養系に精製EGF様分子を10ng/ml添加したところ、EGF様分子はEGFレセプターに直接結合しこれをチロシン特異的にリン酸化した。しかしながらc-erbB2産物をリン酸化させることはなく、EGF様分子はc-erbB2産物ではなくEGFレセプターを直接のレセプターとしてシグナルトランスダクションを活性化させることがわかった。
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