研究概要 |
1.破骨細胞形成におけるマクロファ-ジコロニ-剌激因子(MーCSF)の役割 破骨細胞形成系をその前駆細胞の増殖過程と分化過程に分離し、破骨細胞形成におけるMーCSFの役割を検討した。(1)各種造血因子で支持されたマウス骨髄細胞のメチルセルロ-ス培養よりコロニ-を集め、更に骨芽細胞と共存培養しコロニ-に含まれる破骨細胞前駆細胞数を比較した。MーCSFで支持されたコロニ-が最も多くの前駆細胞を有しており、MーCSFは破骨細胞前駆細胞の増殖因子であることが示唆された。(2)骨芽細胞と脾細胞の6日間の共存培養系において、後半2日間のみ1α,25(OH)_2D_3を添加しても破骨細胞は形成される。この期間にDNA合成の阻害剤を添加し、細胞増殖を完全に抑制しても破骨細胞の分化は促進された。一方、この期間にMーCSF抗体あるいはMーCSFレセプタ-に対する抗体を添加すると破骨細胞の分化は完全に抑制された。即ち、MーCSFは破骨細胞前駆細胞の増殖のみならず、分化過程に重要な役割を果たしていることが明かとなった。 2.破骨細胞前駆細胞から破骨細胞への分化過程の解析 破骨細胞の分化過程を、各種のマ-カ-の発現を調べることより検索した。破骨細胞形成系として骨芽細胞と脾細胞の共存培養系を、破骨細胞の分化マ-カ-として酒石酸抵抗性酸ホスファタ-ゼ(TRAP),carbonic anhydraseII,csrc,液胞型プロトンATPase,ビトロネクチンレセプタ-,カルシトニンレセプタ-の発現を検索した。共存培養系で形成された破骨細胞はここに列挙したマ-カ-が全て強力に発現していることが示された。これらのマ-カ-の発現を経時的に観察すると、興味あることに全てのマ-カ-が同時期には発現されることが認められた。また、invitroで形成された破骨細胞は骨切片上で、10時間以内に吸収窩を形成することができた。骨芽細胞が調節する破骨細胞の分化過程において、全ての機能を有した破骨細胞への分化が一時期に完了することが示唆された。
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