研究課題/領域番号 |
03454439
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研究機関 | 鶴見大学 |
研究代表者 |
清水 正春 鶴見大学, 歯学部, 教授 (40064357)
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研究分担者 |
山越 康雄 鶴見大学, 歯学部, 助手 (20182470)
川本 忠文 鶴見大学, 歯学部, 助手 (60148046)
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キーワード | カルシウム輸送 / エナメル質形成 / オ-トラジオグラフィ- / リン酸輸送 |
研究概要 |
エナメル質の無機相を形成しているカルシウムやリン酸は、エナメル質形成細胞層を構成している細胞によって血液からの輸送が調節されていると考えられているが、その詳細な機構は明らかではない。本研究では、カルシウムイオンとリン酸イオンの輸送が、エナメル質形成細胞によってどのように調節されているかを明らかにするために、放射性カルシウムと放射性リン酸を静脈内に同時投与した9日齢ラットの下顎切歯凍結乾燥片を作製し、種々の形成過程にある部位からエナメル質を採取して、それぞれの試料中の放射能を測定し、エナメル質へ輸送されるCa/PO_4比の変化を調べた。また、放射性カルシウムと放射性リン酸を単独投与したラットからオ-トラジオグラムを作製してこれらのイオンの動態を調べるとともに、カルセインを用いて血中からエナメル質への細胞外輸送経路を調べた。 その結果、カルシウムイオンの輸送経路は、細胞内経路と細胞間経路が存在していることが明かになった。細胞内経路は、血中から石灰化部位へ積極的に輸送する場合と石灰化部位から逆方向に輸送する場合があることが示唆された。リン酸イオンの主な輸送経路は細胞間であるが、閉鎖堤も通過するがことが明らかとなった。基質形成期では、両イオンは細胞間経路を経てエナメル質表面へ輸送されるが、カルシウムイオンが細胞内経路によりエナメル質表面からの血管側に向かって輸送されることによりCa/PO_4比を低下させて石灰化の進行を抑制している様相が示唆された。成熟期のRAの領域では、細胞間輸送経路を閉鎖することによりエナメル質と細胞間隙の間でのイオンの移動を減少させるとともにカルシウムイオンを細胞内輸送経路でエナメル質表面に積極的に輸送することによりCa/PO_4比を大きくし、石灰化の進行を促進させている様相が示唆された。形成にともなうエナメル質結晶の構造変化については、フ-リエ変換赤外吸収、X線回析によって検討中である。
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