研究概要 |
平成5年度は,機能圧負荷後24ヵ月(インプラント植立後27ヵ月:以下,2年例)の4頭の実験動物についてインプラントを含む組織標本を作製し,インプラント・骨界面の光顕的観察を行い,組織形態計測学的検討を行った。さらに,平成4年度に終了した機能圧負荷後12ヵ月(インプラント植立後15ヶ月:以下,1年例)の光顕的観察および組織形態計測学的観察の結果とともに総活を行った(実験2)。実験2では日本猿8頭を用い,抜歯後3ヶ月の治癒期間経由した臼歯部に1回法ジルコニアインプラントを左右各2本ずつ植立し,3ヵ月の臨床的安静状態を確保し,以下の各実験群におけるインプラント・骨界面構造を比較検討した。すなわち,(1)インプラント単独群:右側近心インプラントに鋳造冠を装着するもの,(2)インプラント連結群:左側の2本のインプラントを鋳造冠にて連結するもの,(3)天然歯連結群:右側遠心インプラントとその後方に隣接するM_2とを鋳造冠にて連結するものとし,1年例(4頭),2年例(3頭)の各インプラント周囲組織の光顕観察と組織形態計測を行った。観察期間を通じて,各群の全てのインプラントに動揺や脱落はなく,組織学的には各群の全てのインプラント周囲に線維性結合組織は全く観察されず,直接的骨接触状態が良く維持されていた。また,3群間に差は認められず,約3分の1の本数のインプラントで頚部周囲に軽度の楔状の骨吸収を認めた。骨接触率に関して,1年例ではインプラント単独群がインプラント連結群および天然歯連結群に比べ有意に小さかったが,2年例になると3群間の値に有意差は認められなかった。以上の結果より,いくつかの上部構造物の設計に対するジルコニアインプラントのオッセオインテグレイションの状況が明らかとなり,早期のより確実な骨支持の獲得には,隣接天然歯と連結した方がより好ましいことが示唆された。
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