研究課題/領域番号 |
03454455
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研究機関 | 福岡歯科大学 |
研究代表者 |
宮崎 光治 福岡歯科大学, 歯学部, 助教授 (40050041)
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研究分担者 |
遠藤 剛 東京工業大学, 資源化学研究所, 所長 教授 (40016738)
稲永 昭彦 福岡歯科大学, 歯学部, 助教授 (30105704)
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キーワード | 歯科用レジン / 非収縮性樹脂 / スピロオルトエステル / カチオン重合 / ラジカル重合 / 加熱重合 / 光重合 |
研究概要 |
1.スピロオルトエステルを側鎖に持つアクリレ-トおよびメタクリレ-ト、2ーアクリロイル(またはメタクリロイル)オキシー1、4,6ートリオキサスピロ[4、6]ウンデカン(Ia、Ib)を合成し、その構造をNMRおよびIRスペクトル、元素分析によって確認した。 2.合成した2種のモノマ-、Ia、Ibに重合開始剤としてBSS(benzyl sulfonium salt)、HPSS(benzyl hydroxyphenyl methyl sulfonium salt)、AIBN(azobisisobutyronitrile)、BPOをそれぞれ1モル%添加し、加熱重合法(BSS、AIBN、BPO)、マイクロウェ-ブ重合法(BPO、AIBN、BPO)、光重合法(HPSS)によってバルク重合した。その結果、AIBN、BPOを重合開始剤とした場合にはビニ-ル基のみが開裂し、線状ポリマ-を生成したのに対して、BSS、HPSSを使用した場合には、ビニ-ル基およびスピロ環の両官能基が開裂し、網状ポリマ-を生成したことや、約70%のビニ-ル基が消費されたことがNMRおよびIRスペクトルから推察された。 3.バルク重合によって得られた硬化体は、Iaの多くがやや軟らかくゴムまたは軟らかいプラスチック状態であったが、Ibの殆どは硬いプラスチック状態を呈し、やや脆さが感じられた。また、BSSおよびHPSSによる重合において、3.7〜6.9%の重合収縮が見られた。この値は従来のMMAの重合収縮の約1/3〜1/5に相当し、アクリルモノマ-分子内にスピロ環を入れたことによる収縮の軽減効果が明らかに確認された。以上の結果は、第19回日本歯科理工学会学術講演会(6/16、17)で発表予定である。 4.今後両モノマ-と多官能性アクリルモノマ-との共重合組成および触媒系と、重合反応との関係について精査するとともに、スピロ環を側鎖に持つアクリルポリマ-の合成、および非収縮性が期待できる新しいモノマ-の構造決定、合成などについて検討してゆく予定である。
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