研究課題/領域番号 |
03454459
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研究機関 | 東京医科歯科大学 |
研究代表者 |
石井 純一 東京医科歯科大学, 歯学部, 助手 (40222939)
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研究分担者 |
藤井 英治 東京医科歯科大学, 歯学部, 助手 (20221541)
岩城 博 東京医科歯科大学, 歯学部, 講師 (70107308)
天笠 光雄 東京医科歯科大学, 歯学部, 教授 (00014332)
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キーワード | 舌扁平上皮癌 / 口腔内走査法 / エコー像 / 超音波像 / 腫瘍の深さ / 転移 |
研究概要 |
われわれは口腔癌の原発部位に対する客観的な評価を行うことを目的に超音波診断の可能性を検討している。今年度は口腔内走査法による舌扁平上皮癌の超音波像と病理所見との比較検討を行うと共に原発部位のエコー像から、腫瘍の深さと転移との関係について検討した。 対象は1990年3月から1993年5月までに当科を受診し超音波検査を行い原発巣を切除した舌扁平上皮癌症例29例であった。方法は前年度に報告したものに準じた。 1.組織学的検討 1)低エコー域として描出された“腫瘍"部分は病理学的にみると、腫瘍細胞と間質である結合織、脈管や角化物などであると考えられた。2)腫瘍先端部と舌筋との組織構築を腫瘍と舌筋の界面に着目して「平滑」「不整」に分類するとエコー像の境界所見の「明瞭」「不明瞭」とは有意差はないものの同様な傾向が認められエコー像は組織構築をある程度反映していると考えられた。3)内部エコーの分布や境界エコーの明瞭さはGradeや細胞浸潤などの細胞レベルでの病理組織学的所見とは関連性が認められなかった。 2.腫瘍の深さと転移との関係について 1)腫瘍の深さは「転移あり」のほうがやや深い傾向があった。2)転移症例で治療時すでに転移のあったものと治療後に転移が発見された症例ではその深さに有意の差が認められた。3)深さを5mm以下と6mm超に分けた場合転移を有するものでは後者に転移の割合が多い傾向があった。4)腫瘍の深さが深くなるにつれ転移の頻度は高くなる傾向であった。したがって、治療時に転移のみられた症例は深さが有意に深いものが多く臨床的には転移がみられない症例でも深いものでは、すでに転移している可能性が示唆された。そのような症例では転移の頻度が高くなる傾向が認められ、選択的頚部郭清術を含めた積極的な治療が必要であると考えられた。
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