1)鏡視下縫合針の改良 平成3年度に行った縫合針の開発、製作により得られた器具についての臨床応用の結果から、以下の改良点を行った。(1)針自体の剛性の向上、(2)針の径の増大、(3)針自体の弯曲、以上の3点を改良し製作した縫合針により満足しうる状態を得ている。 2)鏡視下縫合術の関節円板異常への臨床応用 顎関節症のうち最も頻度の高いIII型について検討した。Nd-YAGレーザーによる円板後方滑膜の蒸散、縫合針による縫縮の術式の結果は症状改善の有効例92.5%の臨床成績を得た。本法は術式も比較的容易で、その侵襲も小さいことから、高頻度に発症する本疾患への治療法として今後極めて有用性の高い方法と考えられる。 3)鏡視下縫合術の顎関節制動術への臨床応用 関節運動の制動術への応用は顎関節過剰運動および習慣性脱臼を対象として適用した。術式のうちとくに円板牽引法と異なる点はその縫合部位を円板後方滑膜に限局させずに、関節包自体をも含めて、縫合固定し、全体としての動きを制するものである。したがってNd-YAGレーザーによる蒸散もさらに広範囲に行い、縫合も前後巾を大きく行うこと、更に円板上腔面を下顎窩面へ癒着固定させることにより、確実な臨床経過を得て、所期の目的を達し得た。 その結果、習慣性顎関節脱臼を対象として脱臼治癒は全例、100%の有効率であった。 4)術後経過の検討における画像診断: これらの臨床適用例の術後の判定に顎関節二重造影CT像は関節内状能の把握に極めて有用であった。
|