研究課題/領域番号 |
03454462
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
渕端 孟 大阪大学, 歯学部, 教授 (70028728)
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研究分担者 |
井上 一 大阪大学, 歯学部附属病院, 医員
橋田 達雄 大阪大学, 歯学部, 助手 (20156269)
古川 惣平 大阪大学, 歯学部, 助手 (80173524)
久保 和子 大阪大学, 歯学部, 講師 (60144515)
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キーワード | 線量率効果 / 高線量率照射 / 低線量率照射 / 致死線量 / DNA含量 / 転移率 |
研究概要 |
今年度は、実験装置のX線管球が破損し更新したため、まず新しい照射条件を設定し、引き続き線量率効果について詳細に検討した。すなわち、高線量率および低線量率で5,6,7Gyをそれぞれマウスに全身1回照射し、死亡率を比較した。その結果5Gyの照射では両群共に30日以内に死亡するものはなく、7Gyでは両群共30日以内に全部が死亡した。一方6Gy照射では、高線量率群は症状発現の時期は7Gy照射より遅延したが、7Gy照射の低線量率群とほぼ同様の経過をとり30日以内に全部が死亡した。しかし低線量率群では30日以内に死亡したものは30%に過ぎなかった。以上の結果より高線量率群6Gy照射と、低線量率群7Gy照射の効果はほぼ等価と考えられた。次に培養細胞を用い同様に線量率効果を検討した。すなわちマルチウエルプレートに培養線維芽細胞、同永久軟骨細胞、成長板軟骨細胞を播種し、上記の実験と同じ条件で、それぞれ5Gyを高線量率、低線量率で照射し、照射後のDNA含量の推移を測定した。その結果、約20倍程度の線量率の違いにおいても、多くの場合に明らかに放射線効果が異なることが確認され、通常の外部照射時の線量率にも匹敵する、高線量率組織内照射の際の影響、特に正常組織に対する影響について改めて検討することが必要と考えられた。実験的に線量率を1:100-150、あるいわそれ以上に設定することは非常に困難であるが、今後可久的臨床に近い条件を設定してさらに検討したい。一方、照射と転移巣形成との関連については、家兎VX2carcinomaを用いた実験で、移植部位に生着、増殖する腫瘍に対する3、5、10Gyの一回照射が、いずれもコントロール群に比し肺への転移率を高めるという結果が得られているが、この事実についてさらに詳細に検討、確認した上で線量率、一回線量、分割方法の違いがこの結果をどのように修飾するか、引き続き検討したいと考えている。
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