研究課題/領域番号 |
03454465
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
石田 武 大阪大学, 歯学部・附属病院, 助教授 (50028768)
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研究分担者 |
岸野 万伸 大阪大学, 歯学部・附属病院, 医員
福田 康夫 大阪大学, 歯学部・附属病院, 助手 (20238489)
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キーワード | 口腔白板症 / 扁平上皮癌 / p53 / DNA変異 |
研究概要 |
舌に発生した扁平上皮癌11例、白板症9症例、正常歯肉2例のフォルマリン固定パラフィン包埋材料および扁平上皮癌培養細胞A431よりDNAを抽出し、PCRによってp53遺伝子のexon5、6、7、8部分をそれぞれ増幅させた。パラフィン切片からDNAを抽出する方法は、chelating resinおよび界面活性剤を用いた方法ではPCR産物が得られず、脱パラフィンの後、proteinase Kで消化した材料をPCR templateとすることで増幅産物が得られた。この増幅産物を濃度勾配ポリアクリルアミドゲルで電気泳動し、銀染色でDNAを可視化してp53遺伝子の変異の有無を検索した(PCR-SSCP)。材料が生検材料のパラフィン切片であるため、鋳型DNA量が極めて微量で、泳動後ゲル上の正常2本鎖および1本鎖DNA以外の変異DNAのバンドは薄く、判定が困難であったが、扁平上皮癌1例、白板症1例において変異と考えられる異常バンドが検出された。PCR-SSCPの原法ではアイソトープ標識を用いるため変異DNAの量が微量でも判定が容易であるが、我々は一般検査室でも利用可能なp53 DNAの変異検出方法確立を目指しているため、銀染色による変異判定方法を採用した。検出感度を上げるために、希釈したPCR産物をさらに同一プライマーで再度PCRにかけたところ、バンドは濃くなり判定しやすくなったが、非特異産物と思われるバンドも増幅されて来たため、やはり判定には慎重を要した。客観的な変異バンドの検出には、さらにアニーリングの温度を上げる必要があると思われた。前癌病変と考えられている口腔白板症におけるp53癌抑制遺伝子変異の意義を明らかにするには、PCR-SSCPの条件をさらに検討する必要があると考えられた。
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