研究概要 |
悪性腫瘍患者の細胞性免疫能は一般に低下しておりこの低下は患者血清中に免疫能を低下させる液性因子が存在していることによると考えられる。さらにこれら因子は腫瘍細胞により産生されている可能性が考えられる。代々は、ヒト未鎖血由来リンパ球(PBL)よりインターロイキン-2(IL-2)を用いてlymphohine activateil killer(LAK)細胞を誘導するための無血清培養条件を確立し、同条件下で、当科で樹立した各種口腔癌細胞の無血清培養上清のLAK細胞の増殖並びに活性に及ぼす影響を検討した。その結果以下のことが明らかとなった。 1.PBLをRPM11640とDMEM培地を1:1に配合したRD培地を基礎培地としてIL-2(100ng/ml)ヒトトランスフェリン(5μg/ml),βメルカプトエタノール(10μM)2-アミノエタノール(10μM)亜セレン酸ナトリウム(10μM)を加えた無血清培地で、10%ヒト血清添加培地で誘導したLAK細胞より3〜4倍高い細胞障害活性を有するLAK細胞の誘導が可能であった。 2.多くの腫瘍細胞より分泌されていることが明らかとなっているインスリンあるいはインスリン様成長因子I(1GF-I)はLAK細胞の増殖は抑制しなかったがんの活性を強く抑制した。 3.Transforming Growth Factor(TGF-B)はLAK細胞の増殖と活性を抑制した。 4.口腔由来扁平上皮癌細胞(SCC)及び悪性黒色腫細胞(MM)の培養上清はいづれもLAK細胞の増殖と活性を抑制した。しかし、SCCの活性は酸、熱に安定であったが、MMの活性は酸、熱に不安定であり両者の活性は質的に異なると考えられた。 5.SCCの培養上清をヘバリンセファロースを用いて分画した結果0.9〜1.2MのNalで溶出される画分にインスリン,TGF-βと異なるLAK活性抑性因子活性が存在した。
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