研究課題/領域番号 |
03454467
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研究機関 | 徳島大学 |
研究代表者 |
佐藤 光信 徳島大学, 歯学部, 教授 (00028763)
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研究分担者 |
加地 亮詞 徳島大学, 歯学部, 助手 (30204390)
東 雅之 徳島大学, 歯学部・附属病院, 講師 (20144983)
由良 義明 徳島大学, 歯学部・附属病院, 講師 (00136277)
吉田 秀夫 徳島大学, 歯学部, 助教授 (30116131)
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キーワード | 唾液腺癌細胞 / 分化誘導療法 / Hexamethylene bisacetamide / ニューロフイラメント / グリア線維酸性蛋白 / エトポシド / 5-fluoro-2'-deoxyuridine / 高転移性唾液腺癌細胞 |
研究概要 |
1、培養ヒト唾液腺癌細胞(HSG)をHexamethylene bisacetamide(HMBA)で処理すると、細胞突起を形成した。HMBA処理及び未処理に関係なく、ニューロフィラメンとグリア線維酸性蛋白(GFAP)の両者の発現が認められた。しかしミオシンの発現は認めなかった。また、HSG細胞から5-azacytidineで処理して分化誘導した筋上皮細胞(HSG-AZA1)は、HMBAで処理すると細胞突起を形成すると共に、galactosyl ceramide、GFAP、ニューロフィラメントの発現を認め、またミオシンの発現の減弱を示唆する実験結果を得た。以上より、HSG及びHSG-AZA1細胞をHMBAで処理するとグリア細胞に向う分化誘導が生じることが示唆された。なお、HSG及びHSG-AZA1細胞をHMBAで処理するとDNA hypomethylationが生じること、またプロテインキナーゼC typeII(β)の発現低下を示唆する実験結果を得た。2、8-Cl-cAMPで処理したHSG及びHSY細胞においては、cAMP依存性プロテインキナーゼRと選択的に8-Cl-cAMPが結合し、著明な増殖抑制と筋上皮細胞に向う分化誘導が生じることが示唆された。 3、HSG細胞をDNAトポインソメラーゼII阻害剤であるエトポシドで処理すると、α-smooth muscle actin、ミオフイラメントを発現し平滑筋細胞に分化誘導され、ras癌遺伝子の発現の低下を示唆する実験結果を得た。また、HSG細胞をHMBA、8-Cl-cAMPで処理した場合もras癌遺伝子発現に同様の影響を認めた。4、HSG細胞を5-fluoro-2'-deoxyuridine(FdUMP)で処理すると、筋上皮細胞に分化誘導されること、HSG細胞はFdUMPに対する細胞膜レセプターを発現していることを示唆する実験結果を得た。5、最近、HSG細胞をN-methyl-N-nitrosoureaで処理して高転移性HSG細胞(mHSG)調製して、分化誘導療法に伴うmHSG細胞の増殖・分化、転移・浸潤能に及ぼす影響を解析している。また、正常ヒト唾液腺細胞の不死化に成功し、本研究に組み込まれている。
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