研究分担者 |
宮川 明 札幌医科大学, 医学部, 助手 (70166122)
永井 格 札幌医科大学, 医学部, 講師 (30136957)
平塚 博義 札幌医科大学, 医学部, 講師 (50165180)
山口 晃 札幌医科大学, 医学部, 助手 (10210353)
小田島 哲世 札幌医科大学, 医学部, 講師 (00177239)
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研究概要 |
平成3年度は口腔粘膜癌の悪性度を規定する要因について,主に免疫組織学的に検討した。すなわち,個々の症例について試験切除組織を用い癌発育先進部における腫瘍一宿主境界領域の1.癌細胞集団における増殖期細胞の同定と分布様式,2基底膜の局在様式,また,間質反応としての3,Tリンパ球サブレットの周定と浸潤様式,4.タイプ別コラ-ゲンの分布様式を検索し,各々の所見と術前化学療法に対する抗癌剤感受性との関連を検討し,悪性度を規定する要因を明らかにすることを試みた。(1)増殖期細胞の同定には抗Brdu抗体,抗PCNA抗体を用いたが,いずれも高分化型では各癌胞巣の外層に分布するのに対し,低分化癌では癌胞巣内に不規則,散在性に分布する特徴を示した。しかし、同一症例においてもPCNA(+)細胞の方がより多く認められることから、その算定,評価には抗PCNA抗体による同定が有用であろうと考えられた。(2)癌細胞基底膜の構成成分であるラミニンは光顕的にはIV型コラ-ゲンと同様の染色態度、局在様式を示し,(1)癌胞巣の全周囲に連続性の陽性反応が認められる症例,(2)陽性反応の断裂が認められる症例,(3)陽性反応の断裂が認められ,断裂部位に相当する胞巣内にTリンパ球浸潤の認められる症例の3群に大別された。注目すべきことは,(C)群では術前化学療法がきわめて高く良好な予後が期待できることである。更に症例を増して検討しなければなららいが,現在までのところ癌胞巣内に散在性に浸潤するリンパ球はCD8(+)細胞が優位である。次年度以降は、症例数を増して検索を進めるとともに、病理組織学的ならびに免疫組織学的各所見と抗癌剤感受性との関連から悪性度の評価法を確立し、これに基づいた治療法の適応を考察するとともに、術後の口腔生理機能障害の予測と手術法の改良ならびに歯科補綴学的機能回復の可能性を追究する。
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