1.プロテアソ-ム:(1)プロテアソ-ム・サブユニットに対するモノクロ-ナル抗体を用いた蛍光抗体法により組織染色を行い、卵割期の胚、発生の進んだ神経胚や尾芽胚、あるいは、未受精卵(第一減数分裂中期に停止している)の人工的付活化で観察される減数分裂過程での卵、さらに、コルヒチン処理でその分裂を中期に停止している卵で、分裂中期染色体へのプロテアソ-ムの強い局在化の現象が観察された。これらの結果から、プロテアソ-ムは細胞分裂周期の進行に重要な役割を果たしていると考えられる。(2)マボヤ卵巣からmRNAを単離して網状赤血球ライゼ-ト中で翻訳したところ、モノクロ-ナル抗体が認識するサブユニットが生合成された。そのmRNAを用いてcDNAライブラリ-を作製した。(3)マボヤ精子から26Sプロテアソ-ムと考えられるプロテア-ゼ複合体を単離し、その性質を調べた。本プロテアソ-ムはプロピオキサチンAで特異的に阻害されることが明らかになった。2.卵表層反応:(1)マボヤ未受精卵から単離したトリプシン様酵素に対するモノクロ-ナル抗体を作製し、抗原の存在部位を調べたところ、卵由来ではなく、卵膜に結合している濾胞細胞由来であることが明らかになった。(2)C3酵素によるGTPー結合蛋白質のADPーリボシル化反応を阻害する3種類のモノクロ-ナル抗体を作製した。GTPー結合蛋白質および上記反応の活性化因子に対する抗体であるという予備的結果を得ている。前者の抗体をマボヤ卵内に注入すると媒精に伴う卵膜上昇が阻害された。(3)ラット肺リポコルチンIに対して作製した抗体を用いたウエスタンブロッテングにより、マボヤ未受精卵における免疫交差する蛋白質の存在が明らかになった。(4)マボヤ未受精卵からのNーアセチルグルコサミニダ-ゼを精製し、性質を調べた。本酵素は85Kのサブユニットからなる420Kの高分子であることが明らかになった。
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