研究概要 |
1.麻酔ラットの胃内灌流標本を用いて,グルタメ-トアゴニストのカイニン酸を脳室内投与したところ著明な胃液分泌亢進がおこることを見出した。この作用は用量依存性で,1〜10μg/headの用量で発現した。グルタミン酸にも効力は弱いものの同様の分泌刺激作用を認め,この作用が中枢の特異的受容体を介する作用であることが推測された。 2.グルタメ-ト受容体アゴニストの胃酸分泌刺激作用の効力比較を行ない,受容体サブタイプの検討を行ったところ,カイニン酸型受容体アゴニストが最も強力で,NMDA型受容体の関与の度合いは小さかった。 3.プロゲステロン代謝物のプレグナノロンが強い胃酸分泌刺激作用を有することを見出した。これは性ホルモンが中枢を介して消化に関与することを示す興味ある発見であり,この作用が抑制性アミノ酸のGABA受容体に関連することも証明した。(以上投稿準備中) 4.カプサイシンを投与して求心性知覚神経を機能消失させたラットにエタノ-ルを胃内適用すると,胃粘膜損傷が著しく悪化することを見出した。これはモルヒネで拮抗され,神経要因が胃粘膜の防御機構に重要な役割を果していることを示し得た。 5.視床下部神経核を刺激する2DGとアスピリン,アンモニアを併用することにより,胃幽門洞にヒトの潰瘍に類似の胃潰瘍を発生させる方法を確立した。これは胃潰瘍と中枢との関連を示す重要な新知見である。 6.上記方法で発生させた胃潰瘍はカプサイシン処理による知覚神経の除去で著明に悪化することを見出した。 7.胃粘膜内にマイクロダイアリシスプロ-ブを埋め込む新しい方法を考案し,胃粘膜内のセロトニン,ドパミン等を測定することに成功した。(備品使用)これらアミン量に対してPAF,ヒスタミン遊離物質等が影響を与えることを見出した。
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