研究概要 |
DNAトポイソメラ-ゼ(トポ)はDNAの主鎖の切断と再結合を触媒する事によって、DNA代謝の全ての局面に関与すると考えられている鍵酵素である。しかし哺乳類細胞においてはその詳細はなお不明である。そこで本研究ではトポIとトポIIの機能的関係を明らかにするためにマウス細胞においてトポIの遺伝子を破壊しその影響を細胞レベルと個体レベルで調べる事を目的とする。そこで本年は先ずマウストポIのcDNAをクロ-ン化しその塩基配列を決定した。 ヒトトポIcDNAをプロ-ブとしてマウスcDNAライブラリ-をスクリ-ンして380ー1895bpのcDNA4クロ-ンを得た。更にPCR法によってN端側1065bpのcDNAを得た。これ等の塩基配列決定により全長3512bpの配列が得られアミノ酸配列が明らかとなった。ヒトトポIと比較して第43番と44番アミノ酸の間にリジンとアスパラギン酸の2アミノ酸が挿入された形の767アミノ酸残基より成っていた。また切断DNA末端に結合する活性チロシンも742番目に保存されていた。ヒトトポIとのアミノ酸相同性は96%に達し、哺乳類の間に良く保存されており,その機能の重要性を示している。出芽酵母のトポIとは42%の相同性があり,とくに中央1/2部とC端部は良く保存されており、その機能ドメインとも推定された。次にマウスcDNAをプロ-ブとしてマウスDNAライブラリ-をスクリ-ンをしてマウストポI遺伝子クロ-ンの候補を得て触析中である。
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