相同的組換えによる遺伝子破壊に基づくDNAトポイソメラーゼIの機能解析

1992 年度 実績報告書

• 研究課題/領域番号: 03454496
• 研究機関: 愛知県がんセンター
• 研究代表者: 安藤 俊夫 愛知県がんセンター研究所, 生化学部, 部長 (20012693)
• 研究分担者: 中村 普武 愛知県がんセンター, 研・分子生物学研究室, 室長 (30109938) ; 清水 暁 愛知県がんセンター, 研・病態学研究室, 室長 (10073123) ; 小祝 修 愛知県がんセンター, 研・生化学部, 主任研究員 (50132923)
• キーワード: DNAトポイソメラーゼ / RFLV / cDNA

研究概要

哺乳動物DNAトポイソメラーゼI(トポI)の細胞内機能を個体レベルで明らかにする目的でマウストポI遺伝子を特異的に破壊する試みを行っている。そのためにマウストポIcDNAをクローン化し、塩基配列3512bpを決定した。クローン化したcDNAをプローブに用いてマウストポI遺伝子の染色体上の位置をRFLV法を用いて決定した。実験用マウスNOD、CBA/K1と野性マウスMOL‐MITの間で制限酵素HindIIIを用いてVariationが検出された。HindIIIで消化後のDNAバンドを指標にしてもどし交配後の形質分離パターン及び三点検定交配の解析結果から、トポI遺伝子は第2染色体54.5番地にユニーク遺伝子としてマップされた。ヒトで検出された凝遺伝子はマウスでは認められなかった。次にクローン化したcDNAをプローブにしてマウスspermから作成したCharon4AゲノムライブラリーをスクリーニングしてゲノムトポI遺伝子の単離を試みた結果、エクソン4からエクソン8までを含む2つのクローン(クローン858、861)を単離することが出来た。エクソン7にはEcoRV制限酵素切断部位がユニーク部位として存在することからこの部位に遺伝子破壊のためのNeo遺伝子を挿入することにした。エクソン7とエクソン8を含むxbaI断片4.5kbをpUCベクターに組み込んだ後、マーカーとなるNeo及びHSV‐tk遺伝子をエクソン7及び3'末端にそれぞれ連結して遺伝子破壊用のプラスミドND5‐3及びND5‐8を構築した。現在、細胞レベルでの相同的組換えを行うために精製したプラスミドを直鎖状にした後、エレクトロポーレーションによってEC細胞(B242g)に導入して遺伝子破壊実験を行っている。

研究成果

• [文献書誌] Ono,K.,Ikegami,Y.,Nishizawa,M.& Andoh,T.: "Menogaril,an anthracycline derivative,inhibits DNA topoisomerase II by stabilizing cleavable complexes." Japanese Journal of Cancer Research. 83. 1010-1023 (1992)
• [文献書誌] Ishimi,Y.,Ishida,R.& Andoh,T.: "Effect of ICRF‐193,a novel DNA topoisomerase II inhibitor,on Simian Virus 40 DNA and chromosome replication in vitro." Molecular and Cellular Biology. 12. 4007-4014 (1992)
• [文献書誌] Matsumoto,K.,Sugawara,T.,Takahashi,T.& Andoh,T.: "Injection of anti‐topoisomerase I IgG into nuclei of mouse L929 cells leads to inhibition of transcription of exogenoualy introduced SV40 large T antigen gene." Experimental Cell Research. 204. 6-10 (1993)
• [文献書誌] Koiwai,O.,Yasui,Y.,Sakai,Y.,Watanabe,Y.,Ishii,K.Yanagihara,S,Andoh,T.: "Cloningg of the mouse cDNA encoding DNA topoisomerase I and chromosomal location of the gene." Gene. (1993)
• [文献書誌] Andoh,T.,Ikeda,H.,& Oguro,M.eds.: "Molecular Biology of DNA Topoisomerases and Its Application to Chemotherapy" CRC Press,Inc.,Florida, 377 (1993)