1.フォンビルブランド因子のプロポリペプチド(ppーvWF)のI型コラ-ゲンへの結合部位の限定。 (1)ppーvWFをマウスに免疫し、脾臓細胞とミエロ-マ細胞を融合させ、常法によってppーvWFを認識する単クロ-ン抗体を数種類得ることに成功した。放射ラベルしたppーvWFとコラ-ゲンの結合を測定する方法も確立した。この結合測定系の中にそれぞれの単クロ-ン抗体を加えたところ、ひとつの抗体が極めて強く結合を阻害することが判明した。そこで、ppーvWFを蛋白質分解酵素で切断し、この抗体と結合するペプチド断片を得た。 (2)蛋白質のリジン残基のC端側で特異的に切断するリシルエンドペプチダ-ゼによりppーvWFを断片化し、それぞれを高速液体クロマトグラフを用いて精製した。これらの内、(1)で用いたのと同様の結合実験でppーvWFとコラ-ゲンの結合を阻害するペプチド断片が一つ得られた。そのN末端アミノ酸配列を気相シ-クエンサ-で決定した。この配列結果およびペプチドの分子量、C末端がリジンであるという情報をもとにその部位をPhe570からLys682にいたる113残基であると結論した。したがって、その中にコラ-ゲンと結合する部位があると考えらる。このペプチド断片は(1)の単クロ-ン抗体と反応いる断片でもあった。 2.上記の結果、現在数多くのペプチドを作製し、その活性部位をさらに限定中である。順調に進行中である。 3.ppーvWF以外のコラ-ゲン結合タンパク質の精製。 血小板を各種アゴニストで刺激した際にα顆粒より放出される蛋白質の中から、トロンボスポンジンというコラ-ゲンに結合する蛋白質を高速液体クロマトグラフを駆使して精製することに成功した。既にこの蛋白質とコラ-ゲンとの結合に関する研究を開始している。
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