コラーゲンは細胞外(間)マトリックス(ECM)を形成する代表的なタンパク質の一つである。ECM中には、コラーゲンのように本来ECMタンパク質として存在するものと、それらに結合して機能を発揮するタンパク質も存在する。私たちは、後者のようなタンパク質に焦点を合わせ、その機能ドメインを解明することを本研究の目的とした。I型コラーゲンに結合するタンパク質を血小板より単離・精製し、von Willebrand因子のプロポリペプチド部分(pp-vWFと命名)に相当する事を明らかにした。そのコラーゲン結合ドメインのエッセンスがTrp^<620>-Ser^<629>より成る10残基である事を発見した。 ところで本タンパク質の前駆体から合成されるvon Willebrand因子そのもの(m-vWF)もI型コラーゲンに結合することが知られている。そこでこれら二つのタンパク質のI型コラーゲンへの結合について比較検討を行った。その結果、両者はコラーゲンの異なる構造(部位)を認識して結合するという結論に達した。私たちはpp-vWFが血小板のα-顆粒のみならず表面にも存在し、血小板がコラーゲンに粘着する際には重要な役割を果たす可能性を示した。さらにpp-vWFがトランスグルタミナーゼによりECM中の代表的な蛋白質であるラミニンとクロスリンクする事を発見した。 さて私たちは、コラーゲンに結合するタンパク質として次ぎにトロンボスポンディン(TSP)について研究を行った。TSPはpp-vWFと異なり、未変性のV型コラーゲンにかなり特異的に結合した。そこで将来pp-vWFの機能ドメインと比較を行いたいとの計画もあるので、TSPのV型コラーゲンに対する結合ドメインに関する研究を行った。その結果、分子量45万のなかでアミノ酸80残基より成る部位に限定する事に成功した。
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