我々は昨年度までにX染色体上のアメロゲニン遺伝子とY染色体上のアメロゲニン様遺伝子を共にクローン化、塩基配列など詳細な解析を終わった。さらに伴性型エナメル質欠損症の1家系で男児3例に約5kbの欠失を認め、アメロゲニン遺伝子が本症の原因遺伝子であることを証明した。この家系はスエーデン人である。 本年は日本人の家系分析を試みたが、これまでの所明確に伴性型と言える家系がなく、男児例においても欠失などを認めた例はなかった。常染色体優性ないし劣性型であったと推定される。なおPCR直接塩基配列決定法により点突然変異を含めて検出可能とする技術を、我々が同定したエクソン3個の全長にわたり応用可能とする態勢の樹立に成功した。なお本遺伝子をPCRによる性別判定に用いることにより、1対のプライマによりXとY染色体上のDNAを同時に検出する技術およびSRYによる性判定の対照として本座位の一部を使用し、頬粘膜の塗抹材料による性判定の信頼度を高める可能性についての検討も行い、進行中である。
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