研究課題/領域番号 |
03454504
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
濃沼 信夫 東北大学, 医学部, 教授 (60134095)
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研究分担者 |
宗像 敬 仙台市医療センター, 仙台オープン病院, 内科医長
長井 吉清 東北大学, 医学部, 助手 (30155907)
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キーワード | 医療連携 / 紹介外来制 / プライマリ・ケア / 開放型病院 / 医療機能 / 救生医療体制 |
研究概要 |
対象と方法:病床数約千床の大学病院を受診した新来患者1423名の新療録と紹介状を調査し、住所他、傷病名、重症度、臨床経過など患者の基本的事項を紹介の有無別に比較検討した。また、病床数330床の開放型病院の新来患者695名について、同じく紹介群と非紹介群のx^2検定を行い、紹介に係る患者特性を検討した。結果と考察:大学病院の紹介患者の割合は26%で、紹介群と非紹介群の性、年齢を同一に調整した対比較で有意差を認めるのは住所地、職業、傷病名、診療科、初診回数、退院先であり、入院日数、転帰、保険の種類などは有意差を認めない。大学病院は一次から三次まで多様な医療機能を果たし、以前の受診経験と近隣の居住が、紹介によらず大学病院を受診大きな動機となっている。注目される結果は、紹介の有無と病気の軽重とは必ずしも相関せず、紹介によらない患者が転症とは限らないことである。従って、医療連携の手段である患者紹介を推進するには、こうした患者の診療にあたるプライマリ・ケアの充実が欠かせない前提と考えられた。一方、開放型病院の紹介患者の割合は61%で、紹介群と非紹介群に有意差を認めるのは、年齢、初診回数、職業、傷病名、手術の有無、重症度であり、性、通院回数、入院日数、転帰、退院先などは有意差を認めない。開放型病院は紹介患者の診療を原則とし、紹介によらない患者の多くは救急患者であるが、この救急患者の多くは軽症の一次救急と考えられる。効率的な医療の実現に向けて、開放型病院は入院と検査を中心とした高度の医療機能を期待されているが、救急として引き続き外来機能を担い、この救急医療では必ずしも高次の機能を発揮しえない状況にあることが窺える。効率的な患者紹介システムの構築には、地域の救急医療体制の整備が欠かせない条件と考えられた。次年度は患者紹介のメリット、デメリットのバランスシ-トを費用の面からも検討する予定である。
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