研究課題/領域番号 |
03454504
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
濃沼 信夫 東北大学, 医学部, 教授 (60134095)
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研究分担者 |
宗像 敬 仙台市医療センター, 仙台オープン病院, 内科医長
長井 吉清 東北大学, 医学部, 助手 (30155907)
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キーワード | 医療連携 / 患者紹介 / 大学病院 / 開放型病院 / 一次医療 / 救急医療 |
研究概要 |
目的:本研究は、高度医療を担う大学病院と患者紹介を基盤とする開放型病院の患者特性を紹介の有無別に比較することにより、患者紹介の得失を明らかにし、効果的で良質な医療連携システムの検討を目的とする。昨年度の診療特性の把握に加え、今年度は主に費用の分析を行った。 対象と方法:病床数約千床の大学病院を1か月間に受診した紹介患者683名、非紹介患者740名(1/3無作為抽出)の初診後8か月間の保険点数を診療報酬明細書から調査した。同様に約300床の開放型病院における紹介群422名、非紹介群273名の医療費を分析した。 結果と考察:大学病院の場合、紹介群は外来の総点数と1日当り点数が有意に多く(x^2検定p<0.005)、非紹介群は入院の総点数と1日当り点数が多い傾向にある。診療行為別に見ると、外来点数では紹介群で5割、非紹介群で3割が検査であり、紹介群で検査が有意に多い。入院点数では、非紹介群で注射が多く、非紹介群の入院1日当り点数は低点数と高点数の2峰に乖離する傾向にある。これを入院日数の長短で2群に分けると、紹介群の1日当り点数は長期群で注射が多く、非紹介患者では短期群で注射が多い。診療特性に加え費用面からも、紹介によらず大学病院を受診する患者には、軽症群、重症群とも称すべき性格を異にする患者の混在することが窺える。紹介の有無と病気の重軽とは必ずしも相関せず、患者紹介の推進には一次医療の充実が不可欠と考えられる。 また、開放型病院では、紹介群は外来の総点数と1日当り点数(投薬、注射、検査、画像)が非紹介群より有意に多い。入院では、非紹介群で手術料の割合が3割と多い傾向にある。開放型病院は高次の入院機能を期待されているが、救急としての外来機能を担い、ここでは必ずしも高次の機能を発揮しえない状況にあることが窺える。効率的な医療連携の推進には、地域の救急医療体制の整備が欠かせない条件と考えられる。
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