1)下垂体細胞における検討:ヒト下垂体FSH産生腺腫細胞の初代培養系を用いてアクチビンAの作用機構を検討した。その結課、(1)アクチビンAがこの細胞においてFSH分泌を促進すること、(2)アクチビンAが細胞内Ca^<2+>濃度を上昇させこれがCa^<2+>流入の増加によることを明かにした。 2)線維芽細胞における検討:BalbC3T3細胞においてアクチビンAがプログレッション因子であるIGFの作用を抑制する機構について検討した。その結果、(1)アクチビンはIGFによっておこるCa^<2+>の流入は抑制しないこと、(2)アクチビンがIGFによって増加するジアシルグリセロールの増加を抑制しこれが増殖抑制作用と関係することを明らかにした。 3)膵ラ氏島に存在するアクチビンに関する研究:膵ラ氏島のA細胞にアクチビンAの免疫活性が存在すること、アクチビンガグルカゴンと同一の分泌顆粒に存在することを明らかにした。さらにアクチビンAが二相性のインスリン分泌を惹起しそれが細胞外液Ca^<2+>濃度に依存していることを明らかにした。 4)肝細胞の増殖に対する作用:アクチビンは培養肝細胞に投与すると、EGFやHGFによって惹起されるDNA合成を強力に抑制する。この作用はTGF-βと類似しているがアクチビンは自身のレセプターに結合して作用を発揮すること、アクチビンがG_1中〜後期に作用してそのDNA合成をブロックすることなどが明らかになった。さらにアクチビンは肝細胞が増殖刺激を受けるとG_1中期に発現し、それ自身の増殖を抑制するオートクリン因子であることも明らかになった。再生肝においてもアクチビンが発現することから肝再生の過程においてもアクチビンがオートクリン因子として関与しているものと考えられる。
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