研究課題/領域番号 |
03454518
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研究機関 | 徳島大学 |
研究代表者 |
板倉 光夫 徳島大学, 医学部, 客員教授 (60134227)
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研究分担者 |
岩花 弘之 徳島大学, 医学部, 寄付講座教員助手相当
吉本 勝彦 徳島大学, 医学部, 客員助教授 (90201863)
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キーワード | 遺伝子治療 / B細胞 / 糖尿病 / 線維芽細胞 / プロインスリン / 血糖値感知機構 / インスリン遺伝子 |
研究概要 |
インスリンは血糖値の上昇に応じ膵臓のランゲルハンス島のB細胞(B細胞)から合成分泌されるためには、血糖値を感知しインスリン遺伝子の発現に反映させる分子機構が必要である。我々は、L-培養線維芽細胞株に、ヒトインスリン遺伝子を導入しプロインスリンを発現分泌させ、これらの細胞を糖尿病の疾患動物モデルの腹腔内に移植することにより糖尿病の体細胞遺伝子治療のモデルを作成した。この場合、リンパ球の表面抗原の遺伝子を予め導入し発現させておくことにより、必要時に移植細胞を除去する安全装置を作製した。今回、さらに応用性のある安全装置として、単純ヘルペスウイルスのチミジンキナーゼ遺伝子を予め導入し発現させておき、必要時に抗ウイルス剤であるガンシクロビールを投与することにより移植細胞を除去する安全装置を開発した。 血糖値感知機能と高いインスリン分泌能力を有する膵ラ島B細胞由来のMIN6培養細胞株を用いてB細胞における血糖値感知機構の解析を試みた。ヒトインスリン遺伝子の5'上流の配列に血糖値感知機構が存在するか否かを明らかにするために、この細胞を異なるブドウ糖濃度で培養し、それぞれの条件下でのヒトインスリンのmRNA量をノザン分析したところ、mRNAの量には大きな差は認められなかった。そこで、異なるブドウ糖濃度の培養条件で、ヒトインスリンの5'上流の配列の一部とCAT遺伝子の融合遺伝子の活性を測定することにより転写調節を、また、ヒトインスリンのmRNAと結合するタンパクの有無を調べることにより翻訳調節について検討中である。また、ブドウ糖濃度の高い培養条件下のMIN6細胞のmRNAからブドウ糖濃度の低い条件下におけるmRNAを引き算することにより、それぞれの代謝状態に特異的なmRNAを分離する方法を開発中で、現在少数の特異的なクローンが分離されつつある。これらの方法によりインスリンのブドウ糖濃度依存性の分子機構が除々に解明されつつある。
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