研究概要 |
1)ガラニンの構造と活性の関係を合成ガラニン誘導体を用い、ラット単離膵潅流系,受容体結合活性,モルモット輪状筋に及ぼす効果を指標として検討した結果、ガラニンのN端1-15配列内に主要活性部位が存在することを明らかにした。特にガラニン拮抗物質の開発を目指した研究の結果、数種のgalanin(1-15)を基本骨格とする誘導体のなかから、〔D-Thr^6,D-Trp^<8,9>〕galanin(1-15)-clがラット単離膵潅流系におけるガラニンによるグルコース刺激インスリン分泌抑制作用に対し明らかに用量依存的に拮抗することを見いだした。本研究の結果は初めてガラニンアンタゴニストを見いだしたものであり、今後、さらに強力なアンタゴニスト開発の基礎的情報を提供した。 2)69アミノ酸残基からかるヒト・グリセンチンの会合成を世界で初めて達成するとともに、グルカゴン関連ペプチドの構造と活性の関係を調べた。その結果、GLP-1については、既知のGLP-1(7-37)やGLP-1(7-36)アミドのみならず、GLP-1(7-33)が強力なインスリン分泌亢進作用を示すことを明らかにし、GLP-1の活性部位がその7-33配列内に存在することを示した。 3)PACAPの構造-活性相関の研究から、PACAPC端フラグメント、PACAP(5-38)がそのアンタゴニストとして作用することを見いだした。 4)PTHrP(8-34)誘導体の数種を設計・化学合成し、その拮抗作用を検討した結果、〔desamino-Leu^8,Asn^<10>,Leu^<11>,D-Trp^<12>〕PTHrp(8-34)アミドが強力なPTHrPアンタゴニストであることを証明した。 5)クロモグラニンA特異RIA系を確立した。本測定系は腦腸ペプチド研究に有用な新規の測定系であることを明らかにした。
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