研究概要 |
顆粒球プロテアーゼの一つであるメダラシンの生体防御機構における意義を解明するための研究を行い、以下の結果を得た。1.メダラシンはin Vitroでヒトのリンパ球に作用してactivated killer細胞と誘導する。誘導されたactivated killer細胞は検索したすべてのクローン化がn細胞、ヒト白血病細胞、ヒトリンパ腫細胞を傷害する活性を有していた。メダラシンによって誘導されるactivated killer細胞の細胞傷害活性は1,000単位/mlのインターロイキン2によって24時間に誘導されるLAK細胞とほぼ同程度の細胞傷害活性を有していた。メダラシンはCD16陽性細胞に直接作用し、activated killer細胞を傷害する。誘導されたactivated killer細胞はCD16陽性細胞であった。 2.メダラシンはヒト単球に作用して単球のcytastatic活性を増大させるが、更にcytastatic活性も増大させることがわかったのでその詳細を検討中である。 3.顆粒球メダラシン活性に対し、環境要因の影響の解明。慢性の寒冷刺激や高蛋白食投与でラット顆粒球メダラシン活性が増大することがわかったので、マウスを用いて環境要因のうち栄養が顆粒球メダラシン活性にどのような影響を及ぼすかを調べた。サバ、イワシ、ハマチ、サンマ、アンコウの肝等のエイコサペンタエン酸(EPA)やドコサヘキサエン酸(DHA)を多く含む魚油を投与するとマウス顆粒球メダラシン活性は増大し、ドジョウ、アユ、ニジマス、ウナギ等のこられの脂肪酸の少ない魚油投与では活性は増大しなかった。純化したEPAおよびDHAを投与するとEPAでは活性は低下し、DHAは活性を増大させた。 4.カテプシンGのヒトリンパ球活性化作用。リンパ球を種々のサブセットに分けて調べた結果ヒトT細胞が最もよくカテプシンGで活性化され、従来報告されたB細胞の活性化はわずかであった。
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