研究概要 |
小指外転筋による子指の外転運動について、等尺性収縮および等張性収縮を負荷した際の運動単位の活動パターンを検討した。運動負荷は、1,2,4N/sで4Nまでのランプ収縮、4Nで5分間の持続収縮、1,2Nの荷重、10,20,40deg/sで20drgの外転・内転運動および、2Nの荷重、20deg/20degの5分間の外転・内転運動を行つた。1N/sのランプ収縮時における活動参加の閾値張力は、活動停止の閾値張力よりも小なる傾向が見られた。単一運動単位の単収縮の収縮時間は、5分間の等尺性収縮および5分間の等張性収縮負荷で、60ms程度のfastタイプの運動単位では増大し、100ms程度のslowタイプの運動単位では減少する傾向にあるものが見られた。単収縮張力は、5分間の等尺性収縮負荷で減少傾向にあるものが多く、5分間の等張性収縮負荷で増大傾向にあるものが多く見られた。運動単位の活動参加および活動停止の順序は、収縮条件により差異が見られたが、特定の運動単位が先行して活動参加し、特定の運動単位が遅れて活動停止する傾向が強いが、その運動単位が同一のものであるとは限らないことが見出された。 等尺性随意収縮時の小指外転筋および第一背側骨間筋における単一運動単位の活動パターンを観測し、同レベルの張力発揮に必要な電気刺激頻度との関係を検討したところ、随意収縮時の放電頻度と発揮張力との関係および強縮刺激頻度と発生張力との関係は、刺激強度を変化させてやることにより、ほぼ一致した変化をすることが認められた。随意運動中の運動単位の放電頻度と同様の電気刺激頻度を与えることおよび刺激強度を調節することにより、筋に随意運動と同様の張力を発生させ得ることが解明された。随意運動時の筋力調節における運動単位のrecruitmentとrate codingを人工的に再現することが可能であることが見出された。
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