研究概要 |
ボトロセチンによるフォンビルブラント因子(vWF)活性化機構:フォンビルブラント因子を活性化し、血小板凝集を惹起するボトロセチンをBothrops jararaca蛇毒より精製した(Biochemistry(1991)30,1957-1964)。このボトロセチンを構成するα,β両鎖の全アミノ酸配列に加え、ジスルフィド結合の位置も決定した(Proc.Natl.Acad.Sci.USA(1993)90,928-932)。α,β両鎖ともCa^<++>依存性(Cタイプ)レクチンと高い相同性を示したが、その作用がEDTAにより阻害されないことからレクチンとしてvWFの糖鎖に作用するものではないものと考察した。次に精製ボトロセチンを用い、IIA型,IIB型vWF病患者血漿からのvWFとの結合の相違や、それら複合体により血小板凝集の相違を検討した。またリストセチン血小板凝集を阻害する抗vWF単クローン抗体数種の中で、一部のもののみがボトロセチンによる血小板凝集を阻害することを明らかにした(Thromb.Haemostasis(1992)68,464-469)。さらに2本鎖ボトロセチンに対する単クローン抗体を作成し、それを用いて血管内皮下組織に存在するvWFの生理活性化因子を探索した(論文作成中)。 ボトロセチンとアルボアルグレギンBの比較:Trimeresurus albolabris蛇毒より血小板に直接作用するアルボアルグレギンBを精製し、部分構造を決定したところ作用が異なるにもかかわらず、その構造はボトロセチンと高度に類似していた(Biochem.Biophys.Res.Commun.(1993)191:1386-1392)。 ボトロンビンの精製、性質、構造:Bothrops jararaca蛇毒よりトロンビン様活性を持つボトロンビンを精製し、その糖鎖の結合位置も含めた全アミノ酸配列を決定した。その構造はα-トロンビンと高い相同性を示したが、フィブリノーゲンに作用してフィブリノペプチドAのみを遊離する、第VIII因子の活性化作用が弱い、ヒルジンによって阻害されないなど、いくつかの異なる性質を示した(Biochemistry(1994)33,1843-1849)。
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