研究課題/領域番号 |
03454541
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研究機関 | (財)東京都臨床医学総合研究所 |
研究代表者 |
矢原 一郎 財団法人 東京都臨床医学総合研究所, 副所長 (60109957)
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研究分担者 |
宮田 愛彦 都臨床研, 細胞生物, 研究員 (70209914)
飯田 和子 都臨床研, 細胞生物, 研究員 (40151229)
松本 清治 都臨床研, 細胞生物, 研究員 (40190532)
南 康文 都臨床研, 細胞生物, 研究員 (40181953)
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キーワード | ストレスタンパク質 / 2量体形成ドメイン / カルパイン処理 / カゼインキナーゼII / HSP90 / 分子シャペロン / 酵素の失活 / 会合体形成 |
研究概要 |
1)HSP90の2量体形成に必要なドメイン:HSP90の大部分は2量体を形成している。精製したマウスHSP90をmカルパインで部分分解したところ、モノマーに分離した。カルパイン処理産物のそれぞれのバンドのN末端からのアミノ酸配列を決定したところ、どれも元の完全長のHSP90分子と同じ配列であった。この結果は、mカルパインはHSP90のC末端側を切断したことを示唆している。次ぎに、ヒトHSP90alphacDNAをin vitroで転写、翻訳すると2量体になることをnative PAGEで確認した。そこで、C末端より49個のアミノ酸が欠落するように改変したHSP90alphaを同様にin vitroで発現したところ、2量体を形成しなかった。一方、N末端より118個のアミノ酸を欠落したHSP90alphaは完全長のHSP90alphaと同様に2量体を形成した。これらの結果は、HSP90alphaの2量体形成にはそのC末端の部位が必要であることを示唆している。 2)生理的条件下におけるカゼインキナーゼIIの失活とHSP90による保護:これまでに、精製したブタのカゼインキナーゼIIが低イオン強度の緩衝液中で、低温下、会合体を形成し失活すること、またHSP90がカゼインキナーゼIIと複合体を形成し、会合体形成と失活を防ぐことを見いだし、報告してきた。今回、この現象の生理的意味を明らかにするために、生理的温度と生理的塩濃度溶液中でHSP90がカゼインキナーゼIIにおよぼす効果を調べた。カゼインキナーゼIIはイオン強度が低いほど、また温度が高いほど自己会合しアグリゲートを形成しやすく、また失活しやすかった。HSP90を添加すると、アグリゲート形成および失活が完全に阻害された。しかし、一度会合体となったカゼインキナーゼIIにHSP90を添加しても、元の活性は回復しなかった。
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